9人で世界制覇

胡志明(ホーチミン)

第1話 ヒペリオン王国 御前会議

1996年8月、南シナ海フィリピン沖120kmの海上に浮ぶ小さな独立国家「ヒペリオン王国」


人口   

120万人


首都   

ウラノス ・・・人口40万人


面積   

淡路島の約2倍 


言語   

タガログ語が母国語であるが年配者は占領当時の日本語がわかる。


産業   

石油、天然ガス、鉄鉱石、リン、ウラン 最近領海内に大きな海底油田を発見。


気候   

熱帯性モンスーン気候


政治   

絶対王朝制(旧日本軍の委任統治時代の傀儡政権がそのまま持続)


国家元首 

ヤペトウス2世・・・親日派


宗教   

仏教、イスラム教


産業

石油、天然ガスの販売


交通

日本からの直行便はなくマニラで乗り換えが必要


通貨   

ペリオン・・・1ペリオンは約6円




国王ヤペトウス二世 宮殿会議室内  



豪華な宝石を散りばめた玉座に座った国王ヤペトウス二世が大きな円卓に座った全閣僚を見渡して質問を始めた。


「資源大臣、昨年末に新しく発見された海底油田の予想埋蔵量はどのくらいなのだ?」


指名された小柄な資源大臣が立ち上がる


「は、現在潜水艇を使って細かく調査中ではありますが、今までは調査だけでもかなり大きな油床と見られます。最低でも前回発見したパース油田の3倍はあると思われます」


「そうか、それはよかった。引き続き調査を続けるように。ところで経済省大臣、昨年度のわが国のGDPはどうだった?それと石油の輸出以外の産業の上昇率はどうだ?」


白髪で猫背の経済省大臣が紙を見て答える。

「はい、誠に残念ながらGDPに関しましては国連加盟国の中で下から数えて10位であります。基幹産業も石油以外は農業が主な産業であり目立った伸びはごさいません」額にかいた汗をハンカチで拭きながら恐縮して座った。


「それは困ったものだな、基幹産業の育成にもつと尽力するように。大蔵大臣、各国企業への資金の貸し出し状況はどうなっている?」


「は、これが昨年度の諸外国への貸し付けリストです。」大柄で恰幅の良い大蔵大臣は自信満々に立ち上がって紙を広げた。


「詳しく報告せよ」


「は、アメリカの『HOPE自動車』に1兆2000億円、ドイツの『ガンツ自動車』に1兆円、日本の上場企業『大日鉄』に1兆円、『東西電気』に8000億円、『関東油脂化学』に6000億円、『中日信託銀行」『扶桑銀行』、『金剛銀行』に各5000億円づつであります。すべての貸し付けはドル建てで行なっており、金利は全て年利0、5%にしてあります」


「なに、日本の銀行からも貸し付けの要求があったのか?」


「はい、3行とも例の『住専問題』でもめている銀行であります。私の主観ですが今後も日本の銀行からの融資の要請は増え続けるものと思います」


「そうか、バブルの後の日本の金融機関も大変と見えるな。それはそうと、どうだ、内務大臣フェーペ、近年発見されたわが国の豊富な資源である海底油田と財力を総動員して世界を経済あるいは技術制覇するためのよい画策はないか?例えば香港、シンガポールに負けないようなオフショアマーケットの構築も考えてくれ。いつまでも大企業への貸し付けだけやっていたのではわが国に実態経済が育たないと思うのだが。」


 「国王陛下、陛下のお考えはよく分かっております。そこで妙案がございます。わたくしめの考えですが日本人のスーパーエリートたちを、大量に引き抜いてわが国に連れて来て働かせてみてはいかがでしょうか?彼らにはあのみじめな敗戦国家から世界ナンバーワンの地位に持っていった、技術と知識が豊富ありますのできっとわが国の再建あと基幹産業の発展に役立つと考えますが・・・」


 「ふーむ、しかしその発想はよいが、大量の日本人をしかもスーパーエリートたちを一度に連れてくるとなると、事はそう簡単にはいかないであろう。ヘタをすれば日本国政府との国際紛争にもなりかねないと考えるのだが?」


「お任せください、それには簡単で且つよい方法がございます・・・・」


「日本国には父上の時代に大きな恩がある。したがってことを構えたくはない。それだけは肝に銘じておくように」


「わかっております」

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