はじまり
僕は職業を貰うために王都にある教会に来ている。教会の中には大きな魔法陣があり、その隣には教会関係者が立っていた。
「ようこそ。私は教皇。噂は聞いているよ。さぁこれを持って魔法陣の方へ。」
教皇と名乗るおじさんにナイフを渡された後、僕は魔法陣の真ん中に立ち、ナイフで指先を切って血を魔法陣に垂らした。すると、魔法陣は光だし1枚の紙が現れ僕の足元に落ち、魔法陣の光は収まった。
僕は紙を拾い書かれている職業を確認した。
「召喚士………あ!」
(まずい!聞かれたか?)と思い教皇や教会関係者の顔を見ると皆驚いた表情になっている。それもそのはず、“召喚士”は無能な職業や、最低な職業と言われている。
500年前の話。魔族と人間との間で戦争が起きていた。当時召喚士は何十人もいた。が戦場では全く役に立たなかった。召喚士は武器や、契約を交わした魔物を召喚できるが、召喚の際に大量の魔力を消費するため、2回が限度だった。それに、魔物を召喚できても契約できたのは自分より弱い魔物ぐらいだった。その為召喚士達はパシリのように扱われ、それに耐えられなくなった召喚士は魔族側に寝返った。だが、召喚士が何人魔族側に寝返ったところで人間側の優勢は変わらなかった為、その戦争は人間側の勝利となった。以来、召喚士は国中から嫌われ、馬鹿にされ、罵声を浴びせられ続け自害した者や、何処か遠くへ行った者が現れた。
だが、それ以来職業召喚士は現れていなかった。
(クソ!召喚士。僕が……最悪だ。)そう思っていると、
「しょ、召喚士…。」
「……召喚士。」
「召喚士が出た……。」
教会関係者の若い男が大声で「おーいみんなー召喚士が出たぞー!」と言いながら教会を出て行った。
教皇が小刻みに震え畏怖するような目で尻餅をつきながら「す、すぐに出て行ってくれ。」と言ってきた。僕は紙をくしゃくしゃにしてポケットに入れ教会を飛び出した。
王都ではもう、僕が召喚士だと知られていた。人々はゴミを見るような目で
「裏切り者が。」
「近づくな。」
「無能が。」
「クズが。」
などの罵声を浴びせた。職業が召喚士ってだけでこの扱いだ。
僕は涙を流しながら家へと帰った。
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