家郎'sオリキャラ・オン・パレード

家郎

大きい川くんの憂鬱

 ここはジャパリパーク。数多の動物たちとアニマルガール(通称「フレンズ」)の楽園である。パーク内は自然にあふれ、動物とフレンズたちは野生とほぼ同じ環境で悠々自適に暮らしを営んでいる。そしてこの「じゃんぐるちほー」もまた、さながら南米の熱帯雨林といったところだろうか、雄大な自然が広がっているのだった。

 じゃんぐるちほーの中心部を貫く大きい川――現実ではアマゾン川のような――。ここに、謎多き両生類(と思われる生物)がいた。

 名前のない彼は、見る人が見れば少々グロテスクな外見ではあるが、見た目以上に知性はあるようだ。巨大なカエルに見えるその姿は、一般的なカエルを凌駕するサイズで、存在するだけで圧倒的なオーラを放っている。


    どうしても思い出せない。

   私は何者だったのだろう。

  確か、動物ではない何かが……。

 だめだ、この姿では無理がある。あの頃より記憶の量も質も落ちているような。名前すら思い出せないとは、どうすればいいのだろう。

 唯一の救いは、周りにいる色々な存在全員が私を受け入れてくれていることだ。ジャガーはときどき私に興味深い話を聞かせてくれる。カワウソはジャパリまん、と呼ばれる丸っこい食品をくれ、私の横で楽しそうに食べている。そんな彼女たちの様子をのんびりと眺めているだけで、不思議と心が満たされていく。

 ただ……私の正体はいったい何なのか。答えはいまだに得られていない。はなから諦めているのも半分くらい真実だが、気長に待ってみたほうがいいのかもしれない。

「あっ! おーい!」

「こんな昼間に川から出てるなんて珍しいね。ジャパリまんでも、食べる?」

 いつもの2人か。今は顔を向けて答えることぐらいしかできないが、あの頃に戻れたなら。伝えたい。

 こんなわけもわからない奴に付き合ってくれて、

 ありがとう。


 彼――便宜上、生息地に則って「大きい川くん」と呼ばせてもらおう――の自分探しは、終わらない。



えらく短くなってしまった…尾獣さん(大きい川くんを描いてくれた方)ごめんなさい

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