僕の幸せを君に捧ぐ
あいぺんぎん
第1話 拝啓、僕に幸せを教えてくれた君へ。
「こんにちは、日向さん。」「あ、看護師さん。こんにちは。」「じゃあ、あなたの名前と年齢をで教えてください。」「僕の名前?僕の名前は…なんだっけ?えーと、あ、ひなた そうただ。日向蒼太。21さい。」「はい、良くできました。」こんな僕でもとても愛していた人がいた。彼の名前は裕貴。佐伯 裕貴。僕に幸せを教えてくれた大切な人だ。何故過去形かというともう少しで僕の人生に幕が閉じようとしているからだ。僕は昔から病弱でどっちかと言えば、病院生活の方が長かった。僕の病気は脳みその病気だ。あまり、詳しくは伝えられていないが生まれつきの病気で体調が壊れやすい病気らしい。僕の場合、それが悪化して記憶力の低下、呼吸不全になっているのだ。もう少しで心臓不全にも突入すると聞いた。僕はその事を知らせるため、彼に手紙を書いた。
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裕貴へ。
僕は、病気のせいで、もう長くは無い。もう少しで心臓不全になると医者から言われた。だから、君にこの手紙を送ることにするよ。
裕貴、いつも僕のつまらない話を聞いてくれてありがとう。
裕貴、僕の介護をしてくれてありがとう。大変で辛かったでしょ。ごめん。でも、もう少しで終わるから。
裕貴、僕はいつも病院が怖かったんだ。仲良くしていた病院の仲間がどんどん苦しくなっていくのを見て〝あ…次は僕の番なのかもしれない〟って思う毎日だった。そんな所に君が来てくれて僕は救われた。君は僕の顔を見るなり、ねぇ一緒に屋上行かない?って声をかけてくれたよね。覚えてる?僕は正直、ちょっと怖かったけどそれよりも声をかけてもらえて嬉しかったんだ。あーこんな僕に声をかけてくれる人がいるんだなぁって思ったんだ。屋上ではたわいもない話をして元気づけてくれたよね。
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裕貴、僕、僕、…まだ、、…死にたくないよ…。もう少しだけ、あと少しだけでいいから、裕貴と一緒にいたかったな…。裕貴と一緒にいると僕はとっても幸せな気持ちになれたんだ。〝あ、これが好きっていう感情なんだ。〟って初めて知った。僕は家族以外の誰かを好きになって恋人になれた人は裕貴が初めてだよ。最初で最後の僕の初恋が裕貴で僕は本当幸せだよ。ありがとう。
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