未定

@Card1nal

第1話

 「人類は絶滅の時にまで陥った。この世界を救えるのは君しかいない。さぁこの世界、そして人類を救うのだ!」

 今日も陵は新作の《Relife》というゲームを猛暑の中、キンキンに冷えた部屋の中でプレイしていた。

 「結構ありきたりなゲームだな、なんか人類を救うとか、どこにでもあるしな......これは買って損したか......」

そんな落ち込んだ気持ちをある意味無くしてくれる声が、俺の耳に入ってきた

 「おはよう、古川くん」

 おいおい、嘘だろ、なんでうちに来たんだ......。この声は学校で何度も聞いた声だ。綾咲 宙、こいつは男子から絶大な人気を誇る超美少女なのだが......1つだけ欠点がある、それはドがつくほどの無口なのだ、なぜか俺には口を開くだが、他の男子が話しかけてくるとマネキンのように口を閉ざしてしまう。そのせいで彼女は他の生徒と大きな壁をつくってしまった。

だから彼女は友達と言える友達がいない。なんと哀れなものだ......。

 「...で?なんのなんのご要件でしょうか?」

 「古川くんあそぼ」

 「悪いが、俺はこのクソゲーで忙しいんだ、他をあたってくれ」

 「じゃあ、一緒にゲームしよ」

 「やだね、俺は一人でしたいし、しかもコントローラーは1つしかないからな」

 「コントローラーがあれば一緒にしてもいい?」

 「だめだ」

 「古川くんのケチ」

 流石にここまでお願いされて断って、彼女の3回のうちの1回の貴重な夏休みをただ家で虚しくお勉強という形で過ごさせるのも可哀想だし、一緒にゲームするか。

 「そんなにしたいか?」

 「うん」

 「でもな、コントローラーがないんだ、買いに行くしかないんだが、金はあるか?」

 「うん!」

 「じゃあ、行くぞ」

 俺の声も共に彼女の顔が笑顔になった。

 「いくら持ってるんだ?」

 「2000円くらい」

 「に、2000円?!」

 おいおい、嘘だろ、こいつコントローラー買う気あるのか?普通そんくらいの金なら家に戻って軍資金とりにいくだろ。しゃあない、俺が出すか......

ただでさえめんどくさくて行きたくないのに、自分の金が使われるとなると、さらに足がおもくなる。

 「ここだ」

 「へぇ、これがゲーム屋さんなんだ」

 「お前まさか行ったことなかったのか?」

 「うん」

 まさかゲームショップに行ったことがない奴がいるとは驚きだ。しかも、となりに......。

 「早く買って早く帰るんだからな」

 「うん!」

 コントローラーを買った俺たちは、早速ゲームをすることした。

 「古川くん死んじゃった」

 「待ってろ、今助けるから」

 こんな完全介護プレイを続けながら

はや6時間が過ぎようとしていた。

 「そろそろ帰った方がいいんじゃないか?」

 「なんで?」

 「いや、なんでってそりゃあ家の人が心配するだろ?」

 「今日は古川くんの家に泊まって行く」

 「冗談じゃない、それだけはやめてくれ」

 「いいじゃん!」

 なぜ逆ギレされなければいけないんだ......。

 結局あいつがきかなくて泊まっていくことになってしまった。

 あいつは夕食の買い出しに、俺は先に風呂に入っていた。いろいろと面倒だ。今日のことをゆっくりと回想してみるがゲームしただけ、それだけしか頭に浮かんでこない。流石に明日は泊まらないだろうと知らないうちにフラグをたて、俺はゆっくり肩まで浸かった。

 俺が風呂から上がるとキッチンの前で一生懸命料理をしている綾咲がいた。よく考えれば陰キャの俺が家に女子を入れて料理を作ってもらうなんて幻のようだった。

 俺は特にすることもないので。テレビとスマホで時間を潰していた。

 「もう、できるよ」

手料理なんて、ここ2年くらいは食べていないので結構新鮮だ。

 俺は椅子に座り、料理を待った。料理ができる目の前に置かれるとともにたちまちバターと卵の良いにおいがした。目の前に出て来たのはオムライスだ、オムライスが作れるなんて結構料理できる系の女子なのか?恐る恐るオムライスを口に運んでみる。

 「うまいっ!うまいよ綾咲!」

 想像してたものよりも遥かに上回る味だったのでつい立ち上がってしまった。

 そんな俺を見て綾咲は

 「よかった」

 という言葉と共に今までで1番の笑顔を見せた。

綾咲も風呂に入り、あとは寝るだけとなったのだが、肝心の寝る場所を決めていなかった。どこで綾咲を寝せるかを決めようと考えていると、それを察したかのように

 「古川くんと寝る」と言い出した。

 流石にそれは嫌だし、逆に俺のベッドで寝られても困るので、ソファで寝てもらうことにした。

俺は電気を消し、綾咲が寝た頃、布団の中で綾咲 宙はなぜ俺としか話さないのか、なぜ俺に執着するのか、それを一生懸命に考えた。

だが、全く見当もつかないのでそのまま寝ることにした。







 


 





 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

未定 @Card1nal

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る