臨死者さん
@Remaru
第1話
「いいじゃん、これもやっといてね。」
「黙ってやっとけばいいのにな。」
今思えばよく一年半も耐えれたものだ。
でも最後に思い出すのはこれか......
今私は駅のホームを降りた。
「はっ!」確か電車に轢かれたはずなのに、見たこともない部屋にいた。「どうも初めまして小春さん。私はスイというものでして......」
後ろに誰か立ってる?
「えっ誰ですか?てかここはどこなんですか?」
「説明が遅れましたね。ここは生と死の狭間といったところでこれからあなたが天国に行くかを決める場所で入国管理局ってところです。」
「そうなんですね。それで私は天国に行けるんですか?」
「まぁまぁ焦らないでください。実はまだ小春さんは死んでないんですよ。臨死体験って知っていますか?」
「つまりまだ生きてるってことですか?」
「そういうことですね。」
スイさん曰く、今私は植物人間になっていて私が生きようとすれば意識をとりもどして元の生活に戻るらしいが死のうと思ったら来世に行ってまた生活するみたいだ。
「まぁ時間はいっぱいあるのでゆっくり決めてください。それまでこちらで......」
「せんぱーーい!!!」
いきなり扉が開き誰か入ってきた。
「ゆうとうるさい!」
「だって作業データが吹っ飛んで......」
後輩なのかな?スイさんのこと先輩って言ってたし。てかこっちにもパソコンあるんだ。
「あ、それ修復できますよ」
「「えっ!?」」
「ちょっと貸してください」
カタカタカタカタカタカタカタ
「できました。」
「うわー!すげええ!さすが臨死者!!」
「それは関係ない気が......」
「あの小春さん死ぬまでここで働きませんか?」
「えっ?」
「管理局の臨時職員とすればすぐ対応出来ますし、それに......」
「すいません。私死ぬのは怖くなかったんです。それよりも働くのが怖くて。」......
過去
「小春さんタイピングはやいんだね!じゃあさこれもやっといてくれない?」
「えっこれは田中さんの仕事じゃ......」
「小春さんの方がはやいじゃん じゃあよろしくねー。」......
「ここ修正しときました。」
「ああハイハイ。」
「うわーまたご指摘入ったよ。」
「黙って直しときゃいいのにな。」
「また仕事できるアピールかよ。」
戻る
「少しついてきてください。」
少し歩いたところにある部屋に行った。
「知ってますよ。入国審査のためにここでその人の人生を調べる必要があるんですよ。」
そこには、おびただしい数のDVDがあった。
「なので小春さんがなぜ亡くなったのか知っています。小春さん」
どれだけ冷たくされてもどれだけ良いように使われてもそれでも努力をしていたのは......
「独りでよく頑張りましたね。」
誰かに認めてもらいたかった。
まさか死んでから叶うなんて思ってなかったけれど......
「小春さん。僕はあなたを気持ちよく天国に送り出したいと思っています。なのでトラウマも完璧に払拭したいと思います。」
「えっなになに?小春ちゃんここで働くの?」
「ゆうとハウス」
「扱いが犬!?」
なぜだろういつの間にか不安と恐怖が無くなっていた......
「あの!改めまして白日小春と言います。」
大丈夫怖くない......
「まだ分からないことも色々とありますが」
この人たちとなら......
「死ぬまでよろしくお願いします!」
やっていける気がする。
臨死者さん @Remaru
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