特別編 おかえり
今話も、拙作とコラボして下さったMrR先生から頂いたSSをお送り致します! 本作のフィナーレを飾る、大ボリュームの後日談にして真の最終話! ぜひご覧ください!(*≧∀≦*)
◇
紅レヴァイザーを託してある程度の月日が経過した後。
飛香 炫は真殿 大雅とコンビを組み、紅レヴァイザーを使用しての自警活動をしていた。
専ら相手はデザイアメダルの怪人だ。
デザイアメダルとはそもそも人工島と自然の島とで構成された学園都市、学園島とも呼ばれる「
さらに付け加えて解説するなら、そのチェンジメダルを悪用したのは天照学園をよく思わない日本政府であり、内通者の手引きもあってジェネシスの研究成果を強引に奪いさる事に成功し、ついでにジェネシスを壊滅に追い込む事に成功した。
分かり辛ければ日本政府が人様の研究を勝手に奪い去って悪用して誕生したのがデザイアメダルなのである。
しかも薬物的な要素まで付加してまでだ。
ここからさらに話がややこしくなる。
日本政府はデザイアメダルを薬物の売買感覚で天照学園に広めた。
そして学園が政府に泣きつくのを待つ、一種のマッチポンプを目論んでいた。
だが誤算が起きた。
大量のヒーローの出現。
そしてマッチポンプを円滑に進めるためのシナリオで悪役として葬る予定だったブラックスカルが反逆を起こすだけでなく、数々の証拠付きで日本政府の悪事をネット上にばらまいた上に、学園島で大規模テロを引き起こしたのだ。
ブラックスカルの野望は天照学園のヒーロー達ので止められたが日本政府は事件後も学園島でのテロ行為やブラックスカルの件で責任を追及され、暫く国家機能が麻痺する程の大被害を被った。
その後も宇宙人の襲来などを含めた大事件が頻発したが――ともかくようやく政府の機能が回復し始めた頃にはデザイアメダルは世界中の犯罪組織で使われるようになっていた。
当然日本も例外ではなくデザイアメダルによる事件は多発していた。
デザイアメダルの怪人は人を媒介にしたタイプやそうでないタイプがあるが、どちらにしろ一般人がどうにか出来る相手ではない。
新年戦争が終わって暫く経ち、ヒーローの数も新年戦争以前とまではいかないがそれでも一年前に比べて信じられい程に増えている。
それでも日本全国隅々に起きる事件の対処は難しかった。
なので飛香 炫のような、本来もう戦う理由もないような人物まで戦いに駆り出されていだ。
こうしたヒーロー活動は法律的に言えばよろしくないのだが、そこにブラックスカル、デザイアメダル絡みとなると大幅に譲歩せざるおえないのが政府の事情だった。
なお、こうした政府の弱腰の態度がデザイアメダルの普及に一役買っている事も付け加えてく。
(今日は何か人集りが多いな――)
飛香 炫は今日も真殿 大雅に連れられ、出動していた。
敵はデザイアメダルの怪人。
出現場所は地元の五野寺町二丁目の某商店街商店街。
平日の昼間であるが、近所の買い物客が多い場所だ。
また先日デザイアメダルの怪人とは別の脅威が現れた場所でもある。
だが怪人が現れたにしては何か人が多い気がする。また賑やかだ。
その人混みに、「すいません」と謝りつつも炫や大雅は人集りを掻き分けて進んでいく。
そして目にしたのは――
『青いレヴァイザー・・・・・・』
青いレヴァイザー。手には銀色のメダルを握り、男が倒れ伏していた。
周りは遠巻きながら歓声を挙げている。
この日本で、青いレヴァイザーを身に纏いデザイアメダルの怪人を倒せるヒーローは一人しか思い当たらない。
『久し振りだね、炫君』
『猛君?』
天野 猛。
最初に出会った一年前と違い数々の激戦を潜り抜けて日本を代表するヒーローになりつつある次世代の大型新人。
そして今、炫が身に纏っている紅レヴァイザーを直接手渡して来た本人でもある。
それが二人の再会だった。
☆
とりあえず真殿 大雅同伴で飛香 炫と天野 猛は場所を変えた。
噴水があり、緑があって綺麗に整備された公園だ。
親子連れで近所の子供達が遊んでいる。
当然ながら人集りが出来ていない。
大雅はともかく、紅レヴァイザーは本家の劣化版とは言え超人的な身体能力を得る事が出来る。少なくとも元SAS(イギリスの特殊部隊)の人間以上には。(*紅殻のレヴァイザー第四話参照)
天野 猛は目立つ容姿をしており(金髪の美少女に見えるタイプの美少年)、レヴァイザーである事も知られているが注目を浴びている気配は無い。
長くヒーローをやっているとそう言うスキルも身につくのだろうかと炫と大雅は思った。
「どうして来たのかは・・・・・・そのベルトの事なんだけど」
と、何だかとても言い辛そうに視線を背けながら猛は話を切り出す。
「ああ、紅レヴァイザーの事かな? もしかして返しに貰いに来たの?」
「おい、だけどそれじゃ――」
炫は何時かこうなるんじゃないかと思っていたのかバックルベルトを差し出す。
大雅は理由は察していたが反対の姿勢だった。
「だけど真殿君・・・・・・一応これ借り物だし、それに自分一年前のサイバックパークの事件とか含めて色々と借りがあるから返せと言われたら応じるしかないんだよね」
「お前――その口振りから察するにサイバックパークでも戦ってたのか・・・・・・」
「えーとそれは・・・・・・」
「はあ・・・・・・誤魔化すの下手だなお前・・・・・・」
大雅は呆れたように言った。
サイバックパークの事件とは同時に初めて天野 猛達と出会った時の話だ。
ブラックスカルの事件やDSOの事件が終わった後の時期である。
その時大雅は欠席していた。
表向きはショーの演出と言う事で片付いていたが、改めて思うと真に迫りすぎていた。
紅レヴァイザーとして戦い始めた炫と行動を共にし始めてから気付いた違和感だろう。
あえて触れないでおいたがようやく合点がいった感じだ。
猛は「あの時は大変だったね」と苦笑して本題に入る。
「ボクが来た理由は色々とあるんだけど、少なくともベルトを取り上げに来たんじゃないからね」
「え? どうして?」
「真殿君が言おうとした通りの理由だよ。アレからヒーローの数も増え続けて来てるけど、手は多いに超した事がないからね――特に実戦経験豊富なヒーローなら尚更。地球圏もまだ平和には程遠いみたいだし」
軽い感じで語っているが天野 猛は可愛らしい容姿に反して世界の危機にすら立ち向かった事もあるヒーローだ。一度地球に攻めてきた宇宙人の母船に殴り込んだりもしている。
更に、炫も数々の経験を経たからこそ猛の言葉に、特に最後の「地球圏もまだ平和には程遠い」と言う言葉に重みを感じた。
「いや~紅レヴァイザーは突貫で作ったパワードスーツだったんですがあそこまで使いこなして貰えると――文句の付けようもありませんね~」
と、そこで何処からともなく金髪の美少年がやって来る。
傍には華奢な体格の黒髪の美少年がいた。
二人とも黒のスーツ姿だ。両者共に年頃は飛香達と同じぐらいだろうがとても大人びた雰囲気を感じられた。
炫はおそるおそる「見覚えがあり過ぎるけど・・・・・・彼達は?」と尋ねた。
すると猛が答える前に金髪の美少年が「天村 志郎です。紅レヴァイザーの開発者です」と答えて「倉崎 稜です。護衛やってます」と黒髪の美少年が一礼した。
これに過剰反応したのは真殿 大雅だ。
「お前の人脈本当にどうなってんだ!? 天村 志郎ってあの天村財閥の御曹司でヒーローで天才発明家だろ!?」
「い、いや、そう言われても!?」
胸倉を掴んで大雅を炫をブンブン振り回す。志郎は「いや~それ程でも~」などと笑みを浮かべていた。
「さて本題に入りましょうか」
そうして天村 志郎の口から本題が語られる。
☆
天野 猛達が来た理由は単純に言うと紅レヴァイザーのパワーアップと整備のためだった。
これに炫は断る理由はなかった。
と言うか資格すらない。
そもそも紅レヴァイザーは戦闘目的のために開発したのではなく、愛する人のために送り届けるために天村 志郎が突貫で開発したスーツだ。
人助けのためとは言え、勝手に戦闘に使っていた上に碌に整備もしていなかったからだ。
それを考えれば十二分に優しいと処遇である。
そうして炫が戦えない期間中、町は天野 猛と倉崎 稜の二人が守る事になった。
ついでに何故か桜レヴァイザーやセイントフェアリー、アウティエルといった人気変身ヒロイン達までやって来て飛香 炫が住む五野寺町は嘗て無い程の盛り上がりを見せる事になっていた。
こんな時に騒ぎを起こす馬鹿がいるとすればとんでもない自殺志願者だろう。
なにしろ天野 猛などのヒーロー部の面々は一年前と比べて知名度も実力も段違いに上昇している。
倉崎 稜もアウティエルもヒーローの魔境と化しつつある日本国内の全ヒーロー含めてトップクラスの実力者である。
昔のRPGで例えるなら最初の町にレベル99の勇者パーティーが警備員の仕事をしているような状況だ。
なので犯罪組織や侵略者が跳梁跋扈している今のご時世にも関わらず治安は驚く程によくなり、過去に何らかの犯罪を犯した人間が自首して来る人間まで出て来る程だった。
更に事態は進展していき――
☆
五野寺学園高校。
現在天照学園ヒーロー部と悪の組織部の出張イベントの真っ直中の状況だった。
学校の関係者か許可された人意外は入れないスペシャルイベントである。
そして天照学園は学園長からしてマスコミ嫌いなところがあるせいか、マスコミや週刊誌とおぼしき人達は皆門前払いされていた。
運動場は売店などが建ち並び、天野 猛はレヴァイザーの姿で生徒達の求めに応じて写真撮影に応じている。
他のヒーロー部の面々や悪の組織部の面々も同じ感じだ。
何か白くて丸っこい円盤形の乗り物になったゆるキャラや黄色くて丸っこいウサギの様なゆるキャラなども沢山うろついているが気のせいだろう。
とにもかくも炫はタイミングを見計らって当然の疑問を猛にぶつけた。
「で? 何でイベント開いてんですか?」
と。
「いや~ヒーロー部って少数精鋭だからね。ヒーロー部の数が少なくなると悪の組織部も活動し辛くなるからいっそここで活動しようかという話になって」
「突然なのによく許可が下りたね――」
「志郎さん曰く、「十万ドル、ポンと積んでやったぜ」らしいです」
「何でコマンド―風なんだ・・・・・・」
本当かどうかは知らないが悪の組織と言うより893的な力技だった。
物真似している猛も何気にノリノリである。
「こんなにヒーロー来て学園の守りとか大丈夫なの?」
と、質問するが「大丈夫、留守を守っている子達も大勢いるから」と返って来て炫は苦笑して「そ、そう・・・・・・」としか返せなかった。
天照学園はまるでヒーローのバーゲンセール状態らしい。
一先ずその思考を脇にやり、ふと周囲を見渡す。
(こんなイベントなら楽しめただろうなぁ・・・・・・)
突然のイベントに困惑している生徒や一般人が多いが皆何だかんだで楽しそうだ。
だからこそ炫は愛する人の姿を思い浮かべる。
大雅も――いや、他のクラスメイト達も同じ気持ちを抱いているに違いない。
もしも彼女――伊犂江 優璃、蟻田利佐子がいたら、ハイテンションでこの状況を楽しんだと――
「久し振りに見てみれば元気のない顔をしているな。こんな賑やかな催しをしているのに」
「貴方は――」
目立つ容姿をしている。
ブラウンのオールバックヘアーと碧の瞳の外国人の男性。
均整に鍛えられた体格。
俳優やってますと言っても通じるだろう。
名はアレクサンダー・パーネル。
炫は忘れられる筈もない。
DSOの事件で共に協力して解決し、そして互いの信念賭けて殴り合いもしたのだ。
そして炫にとって大切な人だった少女の兄――
「どうしてここに?」
「スグに分かるさ。確かに彼女はまだ日の当たる所に出るのは躊躇われる立場だ――だがどんな手品を使ったのかは知らないがな――」
「え――」
その口振りで察した。
丁度その時、見知った顔のクラスメイト達が皆ガヤガヤと騒ぎ始める。
そして現れたのは――二人の少女。
見間違いがない。
黒いボブカットの髪の毛。
整った顔立ち。
歳不相応のスタイル。
傍に居るのは例え世界が敵に回ってもその黒髪の少女を傍で支え続けて来た、栗色のセミロングのヘアースタイルが特徴な小柄な少女。
二人ともカジュアルな、綺麗な衣服を身に纏っている。
「本当の意味でただいまだね、飛香――」
黒髪の少女が尻目に雫を溜めながら呟いた。
「え、でも、どうして――」
元伊犂江グループの令嬢、伊犂江 優璃とその付き人の蟻田 利佐子だった。
色々と言いたい事は沢山ある。
「いや~ね~世間は恐いですよね。身内に犯罪者が出ればその身内全員犯罪者扱いになりますもんね」
そこに天村 志郎が現れた。
本当に唐突に現れた。
「あ、天村さん!?」
突然の出現に炫も驚いてしまう。
「どう? 驚いた?」
「いや、そんな事じゃ無くて・・・・・・」
「個人的なやり残しって奴です。この学校に復学させるように薦める事も考えたけど、どうせ皆後悔引き摺ってよそよそしい態度取るぐらいなら今のままみたいな距離を取った関係の方がいいかなって。だけど折角のお祭りなのに誘わないと言うのも勿体ないからこうして誘ったんですよ。勿論アフターケアは全力でやらせてもらいますよ?」
そう言って志郎は笑みを浮かべる。
伊犂江 優璃と蟻田 利佐子の周辺にはクラスメイト達でごった返していた。
これでは誰が主役かどれがサプライズなのか分からない。
笑っておかしい混沌とした状況である。
天照学園の面々もお祝いムードだった。
「人ってのは不思議だよね。良くも悪くも変わるって事かな」
「貴方は――」
その光景を見詰めながらふと一人の少年が現れる。
歳の頃は同い年ぐらいだろうか。
やや茶味掛かった短い髪の毛。
中性的な顔立ち。
服装は動きやすそうな出で立ち。
体格はアスリート系。
ちょうど真殿 大雅に似ている。
それでいて何処か大人びた物を感じる。
一見して天野 猛達と同じ同業者――ヒーローなのかなと思った。
「どうも、サイバーレッドこと楠木 達也です。達也でいいよ?」
「サイバーレッドって・・・・・・ゴーサイバー!? どうしてここに!?」
その感は的中した。
「ボクも誘われたからね――正義の味方の御縁って奴だよ。もしもの場合はボクも助け船を出すつもりだったけど杞憂だったね」
「は、はあ・・・・・・」
と、達也は微笑んでくる。
まさかまさかのスペシャルゲストの登場にまたまた炫はビックリする。
ゴーサイバーと言えばあの悲劇の事件を生き残った戦隊の一つであり、そして一種の伝説として語り継がれているジェノサイザーの一戦など様々な輝かしい戦果を残している戦隊である。
今日は本当に驚きっぱなしだ。
「ボクは彼女と同じような気持ちを味わった事がある。だけど――学校の皆に、人に恵まれていたから今日まで戦って来れた――そう思う時があるんだ。これは奇跡なんかじゃない。人の願いが折り重なって起きた必然だよ」
「・・・・・・そうですね」
そして――タイミングを見計らっていたのかアレクサンダーが背中を叩いた。
「ほら、お姫様がお待ちかねだぞ」
「は、はい!」
当然の事だが人生は楽しいばかりではない。
辛い事も多い。
そして人生はやり直せない。
巻き戻せない。
志郎が言う通り、もう彼女と一緒に学園には通えないのだろう。
だがこれだけは炫にも言えた。
今この瞬間は、心の底から幸せだと。
「おかえり! 伊犂江さん!」
そして炫はお姫様を取り囲む人集りの中に飛び込む。
その姿を見てアレクサンダーは微笑を浮かべた。
「これで本当の意味で決着だな」
アレクサンダーの言う決着は様々な意味が込められている。
DSOから始まった事件のこと。
伊犂江グループの会長が引き起こした事件のこと。
それ達を通して抱え込んだ贖罪、懺悔、復讐心――全てが元通りになったわけではない。
だが彼はその一つの決着の形を見た。
――思ったよりも元気そうでよかった。これなら私がいなくても大丈夫ね。
「ッ!?」
ふとアレクサンダーは亡き妹の姿を垣間見た気がした。
その少女は微笑んでいて、とても幸せそうだった。
スグに消えたが確かにこの瞳でハッキリと捉えた。
「今のは一体・・・・・・」
神様が気紛れに祝福でもしてくれたのだろうか?
アレクサンダーは天を見上げる。
☆
流石に炫も疲れた。
イベントはもうメチャクチャで大盛り上がりだった。
ヒーロー部に悪の組織部。
ほんの一時的ではあるが、学園のアイドルの帰還。
まさかのサイバーレッドのゲスト参戦。
たぶん一生忘れられない一日になっただろう。
あの一日から貰った物は大きい。
「さて――いきますか」
炫は今日も紅レヴァイザーを身に纏う。
天村 志郎の手で整備も万全となり、大幅に改修を咥えられた。
最大の変更点はリミッターモードのON、OFFだろうか。ちなみに今はON。
OFFにすれば以前の倍以上の力を発揮できるが、ONにすれば今迄通りの力しか出せない。
下手に力を増大すれば自分も周りも危険になると言う先輩達からのアドバイスでリミッターモードをOFFにするのは当分無いだろう。まあそんな事態になるような問題に出くわさないのが幸せなのだが。
こうして炫は何時もの日々へと戻っていった――
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