My Way

ジム・ツカゴシ

My Way

 多くの歌手に歌われている曲に“My Way”があります。

 これは歌手のポール・アンカが、1967年にフランス旅行中に耳にしたポップスのメロディーを転用したもので、南仏でこの曲を聞くやアンカは直ぐにパリに飛んで曲の使用権を取得しています。


 帰米したアンカが、ある日、フロリダでフランク・シナトラと会食した時のことです。生前のシナトラはマフィアとの関係を常に取り沙汰されていますが、この会食の場にもそれらしきふたりの男が陪席していました。

 2007年にインタヴューに答えたアンカによると、会食の途中でシナトラが突然、

「I ‘m quitting the business. I’m sick of it, I’m getting the hell out.」

と。

 マフィア相手に何かあったのか、シナトラは、俺は足を洗うと宣言。ニューヨークに帰ったアンカが、朝の1時に思い立って5時には完成したのが下に記したMy Wayの歌詞です。


 アンカが原曲に少々の修正を施してこの歌詞と共にシナトラに贈呈し、1968年12月30日にシナトラがレコーディングし、1969年はじめに発表されました。米国ではビルボードの27番目に登場し、イージー・リスニングでは2番目になり人気を博すことになりました。

 米国以上に反響を生んだのが英国で、1969年4月から翌年の1971年9月まで常にトップ40曲にランクされ、シングル盤ではいまだにこの記録は破られていません。英国の葬儀ではアイルランド民謡のダニー・ボーイが頻繁に使用されますが、このマイ・ウェイが今では最もポピュラーな葬送の曲になっているそうです。


 シナトラに続いてエルビス・プレスリーなど多くの歌手によって歌われ、曲がカンツォーネ風からイタリアの「三人のテノール歌手」によるものもあります。

 男性歌手だけでなく女性歌手によるものも多く、原曲が男性を対象にしたものにもかかわらず、女性歌手によるものに秀作が少なくありません。YouTubeで聞くことができる二人を紹介します。

 ひとりは、カナダでは2億枚のレコードを売ったといわれるCeline Dionです。フランス語が第一言語のケベック州出身のこの歌手は、冒頭にフランス語のセリフを挿入し、他とは一風異なるものですが、力強い歌唱は感銘を与えます。

 力強いことではDionの上をいくのが英国の歌手、Shirley Basseyです。ナイジェリア人の父と英国人の母を持つこの大歌手の名をご存じない方も、007ジェームス・ボンド映画で、“Goldfinger”や“Diamonds are Forever”のテーマ曲の歌手と聞けば、なるほどと頷かれることでしょう。

 このふたりのマイ・ウェイは、オリジナルのシナトラ版が情緒に満ちた魅力に対して、聞く者に勇気を与えるものになっています。一度耳にしてください。


My Way

And now, the end is near

And so I face the final curtain

My friend, I’ll say it clear

I’ll state my case, of which I’m certain

I’ve lived a life that’s full

I traveled each and ev’ry highway

And more, much more than this, I did it my way

Regrets, I’ve had a few

But then again, too few to mention

I did what I had to do, I saw it through without exemption

I planned each charted course, each careful step along the highway

And more, much more than this, I did it my way

Yes, there were times, I’m sure you knew

When I bit off more than I could chew

And through it all, when there was doubt

I ate it up and spit it out

I faced it all and I stood tall and did it my way

I’ve loved, I‘ve laughed and cried

I’ve had my fill, my share of losing

And now, as tears subside, I find it all so amusing

To think I did all that

And may I say, not in a shy way,

“Oh, no, oh, no, not me, I did it my way”

For what is a man, what has he got?

If not himself, then he has naught

The right to say the things he feels and not the words of one who kneels

The record shows I took the blows and did it my way!

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My Way ジム・ツカゴシ @JimTsukagoshi

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