百鬼の番人

八重子

序章 泡沫

戸を開けると風が吹き抜けた。


そんな風に逆らうみたいに私は走る。

いつもの場所にいるあの子のところへ。


「はい、これあげる!」


「これ髪紐?」


私が握りしめていた手を開くと彼女は目を丸くする。

私は自慢気に胸を張った。


「そうだよ、私とおそろい!」


「本当に?ありがとう!」


ぱぁっと音がしそうなその笑顔が私は大好きなんだ。


「ずっとずーっと大事にしてね」


「うん。ずっとずーっと一緒にいてね!約束だよ?」


「もちろん!」


高く昇ったお天道様も、一緒に笑ってくれてるみたいだった。

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