テンプレの使い方

@akira404

テンプレの使い方

 テンプレを有効に使う際の考え方を纏めたものです。筆者も特に書き馴れているわけではないので個人的なメモくらいの感覚で読んでください。テンプレという言葉に抵抗がある場合はコンテクストなどと置き換えても大体意味が通ると思います。


 まず、テンプレを利用すると設定や展開を考える手間を省くことができます。あまりにテンプレ通りだと同じ本を再読しているような気持になり、飽きやすいので利用限度はあります。設定や展開を考える手間を省くと、まず完成が近付きます。書き馴れないうちは完成までが苦しいので、まずは完成させたいです。ある程度余裕が出て来ると、省いた分の手間暇を、作品の面白さに貢献する部分に注力することができます。面白くないものは普及せずテンプレにならないので、テンプレ自体が面白い要素を含んではいますが、これはテンプレが使われるごとに飽きる部分なので、基本的に面白さは書き手が頑張って作ることになるでしょう。


 次に、テンプレを利用すると面白さに繋がらない文章を削ることができます。例えば詳しい情報はどうでもいい雑魚を出したい場合、ゴブリンというテンプレを使うことで、「比較的弱くて小さくて醜く全体的に人型に近くて知能は低いけど武器を持つこともあって攻撃的で」、といった描写をばっさり省くことができるのです。詳しい描写やオリジナルの生態系などが重要だったり面白さに繋がる場合は描写した方がいいのですが、それが面白くない場合は読者としては読みたくないです。


 描写をどこまで詳細にするか、あるいは省くかといった基準ですが、基本的には読者が納得できればいいと思います。納得できないと、もやもやします。全ての事柄を出てきた瞬間に納得させる必要はなく、一旦は謎としておいたものを後から回収して納得させ、読了までに納得させれば大丈夫です。あえて最後まで謎のままにしておいて、もやもやする読了感を残すやり方もありますが。


 テンプレであっても、それを知らない読者に読ませる場合はしっかり描写する必要があります。例えば長谷敏司さんが使っていい設定群として公開されている「アナログハック・オープンリソース」がありますが、これを利用しつつもこの設定を知らない人を対象に物語を描くなら、採用している設定を作中で描写する必要があるでしょう。ゲームみたいなステータス表記も、さらっと出して納得できる人と納得できない人が居るので、読ませたいターゲット層に合わせて描写を調整することになると思います。


 読者が納得さえできれば、必要以上に詳細に描写しなくても構いません。リンゴが木から落ちることを説明するのに、重力があると言って納得してくれればそれで十分で、量子論から説明する必要はないのです。そして、描写しない設定は作っても構いませんが、手間と面白さのコストパフォーマンスを考えましょう。


 納得できればいいので、理解できる必要はないです。例えばラブクラフトの言うコズミックホラーでは、人間が理解できないような存在こそが醍醐味で、読者もそれを理解できない存在として納得します。理解できない存在だと手軽に説明したい場合は、神とか精霊とか呼んでおけば大体納得できます。


 展開のテンプレは、同じ展開でも視点を変えるとか、設定を変えて語り直すなどの方法で使うことができます。sanpow(三方行成)さんの「トランスヒューマンガンマ線バースト童話集」は竹取物語などの童話をベースに、世界設定をSF的な未来にして物語を構築しています。SF的な設定として導入されたトランスヒューマンやガンマ線バーストも、テンプレの一種として考えてもいいかも知れません。


 テンプレも無作為に選べるわけではなく、先に描きたいオリジナルの部分がある場合は、それと上手く噛み合うものを選ぶ必要がありそうです。また古いテンプレについては、科学の発展で矛盾が出たとか、上位互換のテンプレが産まれたとか、理由があって廃れたものが含まれる可能性もあります。作品自体の内容には影響しない部分でも、「あのジャンルは粗製乱造が多い」などの先入観が付く場合もあります。


 テンプレを特定の作品に寄せ過ぎるのは危険です。オマージュやパロディとして出せればいいですが、二次創作とか、下手すると盗作になる可能性があります。


 テンプレを一時的に作ることも可能です。同じテーマや設定を共有するアンソロジーなどが該当します。テンプレの利点を活用しつつ、飽きられていないものを使うことができます。最近のものだとドラゴンカーセックスを題材にした「WHEELS AND DRAGONS」があります。



 以上です。なんか上手いことやりたいですね。

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