男魂くんは学びたい

杏璃

第1話 男魂くんは口下手

これは、男魂ヤンキーくんこと伏見嶺鵞ふせみりょくがくんと、飼い主くんこと成井奏弥なるいそうやくんとの物語である。




ある日の放課後、屋上での出来ごと




「ねぇ、嶺鵞りょうがくん!私、嶺鵞りょうがくんが前から好きでした!付き合ってくれませんか?」

 「え、う、うん」

 

 俺、伏見嶺鵞ふせみりょうがは今、女の子からの告白されているところだ。

 こーいうのをモテる?と言うらしい。奏弥そうやが言っていた。

 でも、毎回「嶺鵞りょうがくんってなんかイメージと違う。無理かも。」そーいって振られる。それが当たり前になってきている。それでも俺は尽くしてるつもりだ。なのに、付き合っても早くて翌日長くても一週間と持たないうちに振られる。それでも校内では、『キャー、嶺鵞りょうがだよ!久しぶりに学校来てる!』『かっこいい!』『付き合いたーい!』『嶺鵞りょうがくんってうまそうだよねぇー』とか、色々言うくせに結局は振られるのが落ちだ。今回も絶対そうだ。

 

 「えっ!?り、嶺鵞りょうがくん?本当にいいの?」

 「あぁー、別にいい///」

 

 これを言うのがせーいっぱい。

 

 「ありがとう!」

 「あっ、おのぅ、な、名前とか教えてくれると・・・」

 「あっ、な、名前?えっとー、伊織いおり若宮伊織わかみやいおり嶺鵞りょうがくんの隣のクラスだよ?わかんない?」

 「ごめん・・・、い、いおりちゃん・・・」

 「うん!それより嶺鵞りょうがくん、声小さくない?いつも威勢は?」

 「えっとー、それは・・・」

 

 そー、いつも振られる理由。それは、女の子を前にするとしゃべれなくなるのだ。


 「まぁ、いいや!嶺鵞りょうがくん、明日デートしようね!じゃ、また!」

 「えっ、う、えっ、うん。また」

 

 「奏弥そうやどーしょう!今度もまた振られるよー!」

 「なに、またコクられたのかよ。」

 

 こいつは俺の幼馴染、成井奏弥なるいそうや。いつも、俺の相談に乗ってくれる。

 

 「コクられたのはいいけど、さすがに断ることを覚えろよ。嶺鵞りょうが!」

 「だって!女の子だよ!可哀想じゃん!」

 「いや、コクられてすぐ『振られる』とかいってる方がよっぽどひぃでぇー気がするのは俺だけか?」

 「それは・・・」

 「まぁ、振られないように、イメージ通りのお前でいるのはどーなんだ?」

 「イメージ通りの俺?」

 「そーだ。一匹狼みたいな感じのオーラだしてすぐ、喧嘩してみたいな?」

 「なんだ、そのイメージ!」

 

 俺は、そんなじゃねぇーよ!

 

 「お前がそんなのじゃねぇーのは知ってるでも、周りはそんなお前に惚れてんだろ?」

 「あいつら、頭おかしいだろ。そんな、俺のどこがいいんだ?」

 「そんなの、俺が知るかよ!でも、そのイメージでいけば振られないかもだぜ」

 「まじか!そしたら、その勢いでベッドインの可能性アリだったりして!!」

 

 女の子とは数えきれないくらい付き合って、振られてきたけど・・・

 まだ、誰ともベッドイン経験ゼロのチェリーボーイだったりする俺である。

 

 「あるといいなぁ」

 「おう!明日の報告待ってろよ!奏弥そうや!!」

 「あぁ、期待しないで待ってるよ」

 「そこは、期待しとけよな!じゃ!俺帰るわ!じゃーな」

 「おう!じゃーな、頑張れよ」

 

 「ベッドイン?そんなんしなくていいよ嶺鵞りょうが

 

 奏弥の家でる直前に奏弥そうやがなにか言った気がするがまぁ、気にしない!!

 それより、伊織いおりちゃんかー!かわいい子だったなぁー!あした、計画どーりに出きるかなぁー

 

次の日

 

 「嶺鵞りょうがくん!一緒にかえろー」

 「あっ、う、うん・・・」

 

 『また、嶺鵞りょうがのやつ違う女に手出してやがる』

 『あー、伊織いおりちゃんまで嶺鵞りょうがに・・・おれ狙ってたのに』

 『女も女だよなぁー、嶺鵞りょうがなんかにさー』

 

 あいつらうぜー。俺の悪口言うとはずいぶんいいご身分だなぁー!殺されてぇのか?

 

 「嶺鵞りょうがくん?行こう。」

 「う、えっ、うん」

 

 勝手に手をとられ、手を繋ぎながら歩く廊下。

 屋上まできた、めっちゃいい雰囲気。ヤるならここだ。

 えっとー、どーするんだっけー?まず、キスからそれでーえっとー・・・

 

 そんな、戸惑っていると、伊織いおりちゃんからのキス。

 

 「い、いおりちゃん///」

 

 ここからは、俺が繋がないと・・・

 伊織ちゃんがYシャツのボタン外し始めちゃった。どーしょう。

 

 「ねぇ、嶺鵞りょうがくん?しよ?いいでしょ」

 「う、えっ、ぅん。でも、俺どーすればいいか」

 「は?マジで?嶺鵞りょうがくん、それ本気で言ってんの?」

 「ぅん・・・」

 「嶺鵞りょうがなら上手いと思ってわざわざうちからコクッたのに童貞?ふざけんなよ」

 「えっ・・・い、いおりちゃん」

 「気安く、名前呼ぶんじゃねぇーよ!この童貞」

 「ご、ごめん」

 「もー、帰るわ」

 

 えっー!なんで!さっきまでの可愛い伊織いおりちゃんは?わけわかんねぇー

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