第2話

昨日事故っちまってさ


彼は電話越しに ボソッと言葉を吐いた


えっ?

駅前でバイクで一回転よ


私は走った 病院へ 息を切らし 心配で 今までにないくらい全速力で自転車をこいだ


病院に着くと 彼は よっ!

と私に向かって左手を挙げた


泣きながら包帯だらけの彼にしがみついた


でも 電話くれるくらいだもん 元気よね

腰が安心と笑いで砕け落ちた


こんな可愛らしい自分がいた淡い思い出

最初の出会いは いつもの溜まり場にたまたまうるさいバイクで登場した アフロヘアーの年下の子 クソ生意気な 奴で あもいっきり私の手を取り外へ連れ出した


そして強引にヘルメットを 私にかぶせる


え? なに 私こんな変なバイクに乗るの?


どこ掴むのどうやって乗るの?


アクセルをふかした サンパチは夜中の街を走る 寒くて涙が出る

でも この快感は忘れられないものとなる


これが彼との出会いだった

私が社会人になり 二十歳になるまでは


でもこの出会いが 私のねじ曲がった性格の根源となる


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る