働くという事

最近は痛風気味

 働くという事

 風邪気味だったので、栄養を摂ろうと某ステーキハウスで食事をした。夕食をするには少し時間が深いと踏んで、空いているだろうと高を括っていたが、以外にも結構な客入り具合だった。

 「客が入っているイコール良い店」と言う数式は常に当てはまる事ではないにしても、そこそこ繁盛しているという事は察しはつく。やはり、それには理由があるもので、まず活気があるという事。店員が皆元気がよく挨拶してくれるし、対応も良い。さらに本題である食事がおいしい。その二点があるだけでも「いい店」なのであろう。折角おいしいものを提供していても、店員の態度一つで二度と行かない店になってしまうなんてことはざらである。

 現文明が発達して、AI付きのロボットだらけになってしまうと、仕事を奪われる職種が出て来るという話もあり、現実味を帯びて来ているが、「接客」という仕事はやはり「対人間」で在って欲しいと、個人的には思っている。

 地区によっては「値切り交渉」する事が当然という所もあるそうだが、その相手が高性能のロボットだったらどうか。自社の利益を確保するセッティングがされていると仮定すると、例えば性能などを理路整然と論じられ、値切り交渉もままならず、買い物自体が味気ないものになってしまう、と思うと少し悲しい。「対人間」だからこそ、何が有るか分からないし、損したり得したり、はたまた店員と仲良くなって友達になってしまうなんてこともあり得る。

 ステーキハウスの話に戻るが、「お冷」(お水)が欲しかったので、汲みに行こうと一度席を立った。セルフサービス的になっていることを悟ったからだ。

 そういう仕組みになっているのであれば、それに従うまでで、別に悪い気はしない。なので、最寄りの水の入った透明なポットが置かれているコーナーまで歩を進めようとした。その時、たまたま使用済みの鉄板などを数枚抱えてい女性店員が、自分の目の前を通り過ぎようとしていた。彼女は後ろ向きになっていたため、最初は顔が見えなかった。すると、通りががりに「少々お待ちください」と言われた。

 「はて」と少し面食らった。何だろうかと数秒思案しているとその店員は抱えていた鉄板を素早く返却口に置き、水の入った透明なボトルを持って私の持っているコップに水を注いでくれた。

 少し面食らって「ありがとう」とお礼を言い、感心しながらそのお顔を拝見すると、昔の所謂「ギャル」であったであろうメイクと雰囲気が感じられた。断わっておくと、決してそれがどぎつい訳ではない。

 別にそうであるからどうの、と言うちょっとした偏見を持っている訳ではないが、いい意味での「意外性」というか、「ギャップ」感が否めなかった。

 世間ではよくこの「ギャップ」感が恋愛などに用いられる事が多いようだが、私の今回の場合、恋愛ではなく「働く」というグラウンドでの感想である。

 彼女の働きぶりに、私は食事以上に彼女から元気をもらった。みんな頑張って働いている。「俺も頑張んなきゃな」。

 就職時に、給料がどうの、有給休暇の取得がどうの、福利厚生が云々などと言って選り好んでいるという声も聞こえて来るが、それで実際どうなのか?

 「御社でしっかり働いて社会に貢献したいです」なんて面接時に言うそうだけど、社会貢献なら彼女の方がずっと貢献している様に思う。客に「元気を与えている」のだから。待遇は恐らくアルバイトで在ろう。



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