悪食少女は悲劇を蝕む

仲仁へび(旧:離久)

01



 その少女は困っていた。

 自分は幸せではないからだ。


 少女は幸せを食べて生きる生物だった。

 けれど、少女は幸せではない。

 少女の周囲にいる人間は、少女の食べれる幸せを与えなかった。


 だから、少女は日に日に飢えていった。


 周りにある物は、食べれない不幸ばかり。


 口に含んだ不幸は、とても美味しくなかった。


 少女は何に口にできないまま、やせ細っていった。


 だがある時、少女は気が付いた。


 不幸が食べれない体なら、自分の体を変えてしまえばいい。


 少女は自分の体の中にある、愛や友情や絆というものを全部引き抜いていった。


 そうして全てを取り外した少女は、不幸を食べれるようになって、もう飢える事は無くなっていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪食少女は悲劇を蝕む 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ