悪食少女は悲劇さえ蝕む







「入れ代わっても気が付かれない、だって私達は双子の姉妹だもの」







 死んだ妹の代わりに復讐したい


 大人達に復讐したい。

 私の妹を殺して追い詰めた人間達に復讐したい。


 この気持ちを忘れたくない。


 私の妹は絶望した。

 全部大人達のせいだ。

 見て見ぬふりをした、自分の事しか考えていない人間達のせいだ。


 皆、同じ目に遭わせてやりたい。


 あいつらは最後まであの子の気持ちが分からなかった。

 だから最後まで追い詰める事が出来たんだ。


 あの子は、ずっと最後まで信じてたのに。

 助けてって言ってたのに。


 あの子はずっと一人で戦ってたんだ。

 だから、私だけはあの子の味方でいなくちゃ。

 誰も、私の妹を助けてくれなかった。

 皆、見殺しにしたんだ。


 許せない。

 絶対に許せない。


 中途半端に甘い声をかけて、親切を働いて、傷つけて。

 薄っぺらな正しさだけを言って、吐いて、投げつけた。


「お前の為?」

「お前の将来の為?」

「お前の事を考えて言ってる?」


 全部全部嘘っぱちじゃないか。


 自分の事しか考えてないじゃないか。


 あの子の事なんて、何も考えてない!


 そうだよね。

 自分の役に立たなくなったら、誕生日なんて祝う必要ないもんね。

 誇れる人間じゃないから、世間(ひと)に話したくないよね、体育祭も授業参観も文化祭も行きたくないんだよね。


 ずっと、あの子は待ってたのに。

 見てくれる事を、見てくれる人を、待ってたのに。


 許せない。

 許せない。

 許せない。


 絶対に許しちゃいけない。


 あの子は、お前たちの事がずっと好きだったのに。

 

 だから私があの子の代わりになる。


 そして復讐する。


 今日から私があの子になる。

 あの子の無念を晴らす。


 大丈夫、まだあの子はちゃんと死んでない。

 だからきっとやるべき事をちゃんとやったら、また起きてくれるはず。目覚めてくれるはずだ。

 それまでは私があの子として生きるんだ。

 あの子の代わりに、復讐してやるんだ。


 私がこの狭い世界の神様になってやる、住民を根絶やしにして、世界を滅ぼしつくしてやる。


 待ってろ。

 待ってろ。

 いつまでも。


 私は絶対に、どんな形になっても、どんな結末になったとしても、復讐を果たしてやる。





 ――私の紡ぐ物語を、私の妹に捧げる。


 ――蛇は私の元に集った。


 ――これは私が紡ぐ、私の為の、私の妹を思って綴った復讐の物語である。


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