第3話 出会い
ぎぃっと音を立てて、無駄に重たい扉が開く。僅かばかりの光が、魔王の間に降り注いだ。
「貴方が魔王ですか?」
カツ、カツと。ロングブーツのヒールの音が鳴り響いた。ああ、やっと現れたか。そう思い重い腰を上げ、顔を上げた。
「ああ。俺は……」
彼女を見て言葉を失った。勇者と言うには似つかわしくない、虫も殺せそうにない。そんな少女が俺の目の前に立っていた。風になびく金色のロングヘア、青色の澄んだ瞳、凛とした立ち姿。彼女がいるだけで、空気が清浄化されていく、そんな気さえした。しかし、まるで天使のような彼女の手には、似つかわしくない剣が握られていた。ドクン、ドクンと、早くなる鼓動。これから倒される恐怖とは違う、この胸の高鳴りは何なんだろうか。胸元を押さえ、これは勘違いだと自分に言い聞かせる。すっと背筋を伸ばし、相手を見下ろすように立つ。
「左様。俺は魔王だ。よく来たな勇者一行。消し炭にしてやろう。さぁ、来い」
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