異世界で育った未来の子スーパースーツで無双する

無限大

第一章 精霊術

第1話 前触れ

 ザクッ、ザクッ、.

 腰まで伸びる草をかき分け前へ、前へ。

 時折、手に持つ杖代わりの太めの枯れ枝でかき分けて視界を確保しながら進んでいく。


 少し傾きかけた陽光を木漏れ日に見ながら森の木々の間をくぐり抜け、開けた空間にたどり着いた。


「ここら辺で少し休んでいくとするか」


 男は木の根元に腰を下ろした。腰にぶら下げた木で出来た水筒の栓を抜き、口に当てて流し込む。


「ん、んっ、ふう」


 口の周りのこぼれ落ちたしずくを拭いながら一息吐き、腰の袋に入れておいた木の皮で包んだ干し肉を噛みながら日の光に目を細めていた。


 朝早くから獲物を探して森に入ったが、このところなかなか思い通りに捕まえられず、丸二日家に帰っていない。


「蓄えはあるから良いけど、何とかしないとな」


 焦る気持ちを我慢し、食べ終えると腰に付いた土を払いながら立ち上がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る