背高のっぽだった俺が小人族に転生
にゃむにゃむ
第1話
俺は思う。どうしてこうなったのであろうか?
「にぃさん、腹減った」
俺をにぃさんと呼ぶコイツは、見た目は金の髪に青い瞳の可愛らしい幼児だが立派な大人、小人族である俺の弟だ。
「にぃに、お腹すいた」
俺をにぃにと呼ぶコイツは、見た目は黒の髪に黒い瞳の可愛らしい幼女だが立派な大人、小人族である俺の妹だ。
「マスター、お腹すいたにゃ。今日にょご飯はにゃんにゃ? それともあたしを食べるにゃ?」
俺をマスターと呼ぶコイツは、見た目は二足歩行の猫、中身も猫、思考は自堕落なナマケモノな、猫魔、いわゆるケットシーのクレスだ。むかしはこうじゃなかったのにな。なんでもクレクレのクレス、そう憶えれば間違いない。ことあることに、色仕掛けを仕掛けてくる色魔でもある。おれはモフラーではあるがケモナーじゃねぇ。見た目がケモノなナマモノとそういうことをする気はない。
「お腹すいたにゃ、お腹すいたにゃ」
「にゃ~にゃ~にゃ~にゃ~」
にゃ~にゃ~うるさいこいつらは、いつの間にか増殖してたうちの居候であるところのケットシーどもだ。
何の因果でこんな目にあってるのであろうか?
早朝、起床したら、畑へ行き収穫。その後に狩り。狩りをしたら獲物を解体し、熟成部屋に叩き込む。その代わりに熟成した肉を持ち出し朝食の準備。
ハラぺコどもに飯を食わせたら、畑の手入れ。その後にまた狩りに。朝の狩りだけでは肉が足らんからな。その後、昼食を作り、また狩りへ。その後帰宅したら夕食を作り、風呂の準備をし、嫌がるケットシーどもを片っ端から風呂へ叩き込んで、ようやく自由時間。
自由時間とはいえ自分の時間はない。こまごまとした雑器を作らないといけないからな。なにせケットシーどもは良く皿を割る。陶器の皿ならともかく、どうしたら木製の皿が割れるんだ? 奴らはお手伝いと称して仕事を増やす害悪だ。
なぜそんな居候を住まわせてるかといえば、冬場にはモフモフ、ヌクヌクな環境を提供してくれるからだ。コイツらは、見た目と中身はどうあれ猫なわけで、普段から体温が高く、冬場に暖を取るには最適だからだ。冬場の薪の消費量は馬鹿にはならないからな。ケチると凍死待った無しだ。この地方の冬は厳しいのだ。
冬場以外の寝るときは抱き枕感覚だ。一度、何かを抱いて寝てると癖になり止められん。それに、モフモフの魅力には抗えん。モフモフは正義! だからな。
抱いて寝るからには毎日清潔にしていないとな。風呂ギライのあいつらを風呂に沈めるのは手間がかかるが、あいつらは、無駄飯食いの穀潰しなんだからそれくらいは許されるべきだ。俺の一日の大半は、あいつらの世話に費やされてるようなものだしな。
まぁ、そんなこんなで俺の日常は忙しい。社畜もびっくりな重労働だ・・・・・・どうしてこうなったんだろうな?
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