【さんじゅうに】アラナミ

小さな灯火が消えました


たくさんたくさん消えました


アラナミに呑まれ消えました


僕らは何も出来ないで


遠くからそれを見てました


「無力だ」と嘆くもの


「ざまぁ笑」と罵るもの


「関係ない」と眠るもの


色々な人の心理が見えました


消えたのは灯火だけじゃありません


たくさんの思い出も壊されました


かけがえのないメモリー


僕らはそれらを見てどうするべきか


分からないまま立ちすくみました


神様よ。もしもあなたがいるのなら


なぜ、無差別テロを起こすのです?


灯火が消えました


たくさんたくさん消えました


未だなお照り続ける灯火も


傷つき、傷つけ、泣きわめきました


神様よ。むしろ、あなたがいてくれた方がいい


このテロの犯人がいてくれた方が


そんなことさえ考えてしまう


僕の灯火も身近な人の灯火も消されていません


だけど、あの思い出の屑を見る度に


垂れるろうを見る度に


僕の心は摩擦で少し焦げて


煙が心臓あたりを覆うのです


モヤモヤとモヤモヤとモヤモヤとモヤモヤと


悲しげな表情が映る度に目を覆いました


やめてくれ。やめてくれ


思い出の残骸の中から灯火を探すのは


分かっているのです。そんなのはエゴだと


それでもつい、願ってしまうのです


いつか、この人たちも幸せになって欲しいと


僕の文字で僕の声で僕の音で僕の生涯で


もしもそれを伝えることが出来たら


願ったり叶ったりです


サヨナラを

荒波のまれ

伝わらず

いつか2人で

笑い会えたら


アラナミ君のせいじゃない 君を操る神様のせいだ


そう思うことにしたよ


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