第伍話 彼は秀くん
最後に長則さまと之綱さまとの3Pを終え、身支度をしっかりとお互いにしてから、長則さまに炉銀と馬と、男の人を貰ったんだけれど……。
男の人だけど之綱さまくらいの子?だからワタシより年下だとは思うんだけど、見た目は可愛らしい感じ、弟がいたら彼の事を指しそうなくらいに。
ワタシは笑顔でその子に声をかける。
「これから一緒に旅に出てくれるのよね?名前は何て言うの?」
「名はございませぬ」
「え!?そうなの?」
コクン、と彼は頷いた。もう、長則さまったらお名前ちゃんとつけてあげなきゃ駄目じゃない。
ワタシは目を瞑り考える、彼の視線を感じるがお構い無しに考える。
パッと閃いたワタシは目を開け彼に指差した。
「うん、秀くんね!ワタシの弟って事で」
「え!?いや、でも俺は従者としまして…」
「駄目駄目、そんな堅苦しいのは!決まり、今日から秀くん、ワタシの弟。お姉ちゃんって呼ぶのよ?」
相手が否定しようとするのを遮り、ワタシは自分の考えを押しきる。
「お、お姉ちゃんでございますか?お姉ちゃんとは」
「お姉ちゃん知らない?えーっと、姉と弟な関係?血の繋がりとか義理の姉弟とか」
「あ、姉者…?」
「そうそう、姉者!それをお姉ちゃん。ね?従者とかって言うならワタシのお願い聞いてくれるでしょ?」
相手の手を握り、甘い声でお願いしてみる。
「名を貰い、しかも姉者とは勿体のうございます」
「いやっ、フレンドリーによ、姉弟になるんだから、秀くんちゃんとお姉ちゃんって」
手を握りつつ、相手に顔を近付けおねだり。
観念したのか、彼、ワタシの弟になった秀くんは恥ずかしそうな表情で声を発した。
「あ、姉者」
「ふふ、これから宜しくね、秀くん」
ちゅっ、と可愛い弟の頬にワタシはキスをした。
ワタシのキスに固まった秀くんの手を引っ張り、ワタシと秀くんの旅が始まる。
秀くんとの旅はすごーく楽チン、秀くんって凄いのよ?旅慣れしてるのか、色々売ったり稼いだりしてくれる、因みに喧嘩も強いみたいで忍者みたい。
秀くんを弟に出来て、秀与幸せ。因みに、秀くんは弟だから、エッチな事はしてません。偶に、からかうみたいに頬にちゅってキスをするけど、そこに性的な思いが出来ないのよね、弟っていう立場にしてるからもあるかも知れないわ。
独り寝は寂しいから、秀くんに添い寝は頼んじゃうけど。秀くんの添い寝は暖かくて、ぐっすり眠れちゃう。トリップして図太く生きてるワタシだけれど、繋がりは大事にしてるって事かしら?秀くんはすごーく大事だから、姉弟としての繋がりにして、エッチな事はしないって決めてるの。
けど、秀くんも男だし、溜まっちゃうだろうから、時々女の子引っ掻けて良いのよ?って言ったりしてる。
秀くんちょっと寂しげにしつつも、お姉ちゃんのいう事は聞いてくれて、いなくなる時もある。その時のワタシは独り寝する時もあれば、ワタシもワタシで男を引っ掻けに、って事もあるけれど。
で、その時にワタシは貴方に会ったのよね、一若くんに。
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