「面白さ」とは?

影宮

ホラー

「面白い小説を書いてよ」と言われて何を「面白さ」と定義し、小説に取り入れるか。


自分はストーリーよりもセリフ派なんだよなぁ、と思いつつ。


面白いストーリーって、現実味がないものと、現実味があるものがある。


ホラーだと、現実味がある方が面白く感じるのではないか。

本当にあったらどうしよう、だとかを思わせるようなリアルさが読者をゾクゾクさせ、『次の瞬間』と文章がくれば何が起こるのだろうかと先を望み、さらに結末、主人公がどうなったのかまで知りたくなる。

この時、主人公の設定はほとんどどうでもよくなる。

まぁ、主人公が自分に似ていれば似ているほどに読んだ後まで、『もしも』を読者に想像させて長く楽しませることが可能だろう。


ホラー小説の面白さは、始まりが平らなイメージがあるのだ。

その次に徐々に徐々に、そう、ゆるやかな山を登っていく。

そして頂上に立つ時、大きな何かが起こる。

そしてガタンッと崖から落とされる。

結末は、平らではなく、もう元には戻らない抉れた土地。

上記はイメージだ。

まぁ、ジェットコースターと言ったら速い。


日常生活でありがちなものほど山場を過ぎた後も恐怖を残せるのがホラーの面白さではないか、と思う。

いつものように過ごしていた主人公が、ある日いつもとは違う何かに出会う。もしくは、してしまう。

それが恐怖へのきっかけとなってしまうように、『日常生活』に、何か躓くような「ん?」と主人公が思うが「まぁいいか」「そんなこと」と軽く流す程度の『些細な変化』を置く。

ストーリーの始めは『普通』で何の設定も要らないように思う。

『些細な変化』をきっかけとして物事の展開を持っていくのだから、平らであればあるほど落差が大きくその分読者はゾクリと出来る。

落差が大きければ、恐怖もそれ相応には膨らむ。

その恐怖こそが、読者の感じる「面白さ」の一つと自分は考える。

崖から落ちるような、イメージで。

落差が大きければ大きいほどに読者は面白さを感じ、余韻にも浸れるのではないかと考える。


そもそも「面白さ」というのは、小説のジャンルによって異なるのではないか。

だが、何処かにそれぞれのジャンル全てに当てはまる共通点なるものがあるだろう。

その共通点が「面白さ」と定義していいんでは?

という感覚でまずはホラーから手をつけてみたわけだが。


行ったり来たりですまないが、落差が面白さの一つだと言った。

ホラーの面白さはまだある。

結末。

ガタンと落とされた後に、そういった恐ろしい出来事が再び起こるのではないかと思わせられるような、最初で起きた『些細な変化』なるものを置いてみれば、余韻に浸れる。

「もしかしたら、貴方の身にも?」等というような言葉一つ置くだけでも勝手に恐怖する読者はいる。

その『些細な変化』も現実味がいるだろう。

現実味のない『些細な変化』は恐れるべき対象ではないから、作り話だと言って余韻は小さいのだ。


ホラー

『落差』『恐怖』『現実味』

といったところか。


ストーリーの流れ的にもそういう要素が読者を「面白い」と思わせるものなのではないか。


正直、リクエストを頂いてホラー小説を書く時、自分はどう書くか。

主人公は人間でなければ、読者が己と置き換えて余韻に浸れない。

キャラ設定が人間と固定される。

だが、その人間が化け物へと変わってしまうというストーリー設定をつけたいならば、その展開へ持っていくための現実味、リアルさが強くなければ、現実味のない結末は、結局「有り得ない」として読者と小説の中の距離があいてしまうだろう。

『もし、自分が』という余韻も面白さとも言える。


この流れからいくと、面白く感じる小説というのは、読者と小説の距離が近いものなのではないか?


キャラ設定で言うならば、『共感』。

ストーリーでいうなれば、『現実味』。


自分と近ければ近いほどに、小説へと呑み込まれていく。


ホラーは、呑み込まれて恐怖を得て、その余韻までもが、面白いのでは?


『落差』が読者を驚かせ、『現実味』が読者を惹きこみ、『恐怖』が読者に余韻をもたらす。


ホラー

『落差』『現実味』『恐怖』

だろうか?


ホラー系の短編集なら書いたっていうか、書いている。

読者が「怖い」とコメントした話を振り返ってみる。


恐怖を与えるような、『それ』が起こる条件というものが、日常生活でもありうるものである。

自分の小説でいうと、天候かな。

恐怖の対象の設定は、生き物ではない作り物であること、雨の日に血の涙を流すこと等。

起こる条件が、日常的にあるものであり、さらに恐怖の対象が非現実的なものであること。

これが『落差』を産む。


主人公が普通行かないところへ、噂を確かめる為に行った。


それが『些細な変化』というか、『きっかけ』だろう。

これも、噂を確かめたくなる人間がいるからこそ使える手だろうと思う。

現実に実際に、いる。


勇気があるなぁ、と読者に思わせればそれはそれで主人公の行く先が気になるだろうし、


こういう奴いるよね、と思わさせてしまえばなんとなく野次馬的な視点になってくる。

馬鹿だと言いつつ何気に自分はその馬鹿を見に行ってしまうだろう、そういう人いるんだよなぁ。


読者に主人公に対して何かしらを思わせることが出来れば、少しは興味が先を見ようとするだろう。


主人公の性格が現実に実際にいる人間の中にいたら。

よくいるよな、って人間ほどわかりやすい主人公はいないが。


まぁ、引っ括めて『現実味』



結局うだうだ語っても変わりなし。


ホラー

『落差』『現実味』『恐怖』


が、「面白さ」ではないだろうか?


ホラー小説を書いてっていわれてまったく現実味がない始まりから、まったく現実味のない終わり、はなかなか書かない。

ストーリー設定が現実味がなければもうキャラ設定が現実味を持つしかない。

自分でいう、オリキャラである夜影の話でホラーを書くと、

現実味のない設定ばかりになる。

恐怖が小さく、また別の面白さが出てきそうだ。

そうなるともう、ホラー小説ではなくなるのではないか?


ホラー小説とは何か、を問わなければなるまい。

ここまできてそこを問うのは今更だな、おい。

英語で、ホラーとはHorrorと書くが、日本語に直すと恐怖。

ホラー小説と書きたければHorror novelとなり、まぁ恐怖小説だな。

『恐怖』という要素があればホラー小説なのでは?

ホラー小説の面白さに、『恐怖』がなければそれはもう多分物が違う。

という考え方をした。

というか、ホラー小説って読者を『恐怖』させる為の小説だろう?

前提がそこ。

ならば「面白さ」に『恐怖』はあるだろう。

うん。


でここにいてまた一つ。

『現実味』は『恐怖』を招く要素なので「面白さ」から抜いてもいいのではないか。

あくまでも『現実味』があるからこそ『恐怖』するのであって、『現実味』があるから、ではない。

そう考えると『恐怖』と『落差』であろう。

ホラー小説は『現実味』がなくても『恐怖』さえ感じれば「面白い」のだ。


ただ、『恐怖』を感じやすいのは『現実味』のある設定なのではないか。


結論

・ホラー小説の場合「面白さ」

『恐怖』『落差』


(考えながら書いてる内に、もうズレてしまっているのではないかと感じ始めた。まぁ、もし、そうであっても、大目にみてくれないか?)

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