第4話 サブタイはあなた方の心の中で決めてほしい……

 他人と会話が慣れていない人物の特徴。


・話題が唐突

・いきなり下ネタなどドン引きする内容

・ただの挨拶で「あ、この人私が好きなんだな……」と思う

・  〃   「この人いい人……もう友達だね!」と思う

・ちょっと苦言を呈されただけで、酷く傷つく


(注:個人的な見解です。

 ソースは作sy……何でもないです)


―――――――――――――――――――――――――――――――







 この世界に来て3時間ほど経過した。


『籠ろう⤵ 籠ろう⤵ 私は~ボッチ⤴』


「……」


『一人が~大好き~……ひぐっ……根暗で行~こ~お~……えぐっ……ずぴーっ』


「……悪かったよ、言い過ぎた……」


『ふぇ~……じゃあ……ヒック……またお話してくれますか?』


 ああああ~~~~っメチャクチャ面倒くせぇ!!!!







 この世界の創造神、『聖母神アルテ』から、この世界の救済を頼まれ、色々と加護を貰って異世界転移した。


 そして、アルテからの加護を貰ったことにより、この星自身である世界アルテノンが話しかけてくることになった。


 そう、世界自体が話しかけてくるのだ。

 訳が分からないよ……


 どうやら、アルテから貰った加護の作用らしい。


 だが、このアルテノンは、18億年ほど誰とも会話したことが無かったようで、初めて会話出来る相手が出来たことにより、テンションが上がっていた。


 ただし、筋金入りのコミュ障である世界アルテノンは、他人との距離感ガン無視で、いきなり下ネタや唐突な話題で話しかけ『続け』てくる。


 アルテを救ってほしいと、なんかお別れの言葉っぽいのを言っていたのに、全然のお別れじゃなく、むしろ無言の時間を持て余して、積極的に話しかけ続けてきたのだ。


 3か月後に始まる魔王討伐作戦に協力し、英雄ブライという男を助けるための修行も兼ねて、このあたりの魔物モンスターを借りながら、受け取った加護を使いこなす。


 そのため、この自然あふれる森の中で、弱そうな魔物を探して、集中したかった。


 だから……


「すまんアルテノン、集中出来ないから話しかけてこないで」


 と思わずドストレートに言ってしまったのがいけなかった……だって五月蠅うるさかったんだもん……


 するとテノンはガン泣きした。


 俺だけしかテノンの声は聞こえないから、周りには何の影響もないが、俺の頭の中に直接響くために、さらに五月蠅かった。


 そして冒頭に戻る。

 あれほど絶望した声で、本来なら楽し気な感じの歌を、ここまで陰惨な替え歌に出来るのかと逆に感心した。


 どうやら、地球の知識がアルテ経由でテノンにもリンクされているようだ。


『ふぐっ……私の事はテノンって呼んで?』


「ああ……テノン、悪いが今からアルテの加護を使う練習がしたいんだ。

 当然命を懸けるから、集中しなきゃいけない。

 だから少し静かに見守っていてくれるか?」


『はいっ!

 私達マブダチですからね!!』


 因みにこちらの考えも読める様だが、意識して伝えないと念じることにより、テノンに考えが伝わらなくなる。


 だからこそ声に出さずに言おう、こいつマジでクソ面倒臭い!!!!




『……渉さん、何故そっちに行っているんですか?』


「ん?

 弱そうな相手を探しているからだ。

 なかなか見つからないけど……」


 俺に索敵なんて能力はない。


『そのまま左側に45度の方に500mほど進めば、ゴブリンが居ますよ?』


 ゴブリン?!

 定番が来た!!


 でも人型って倒せるかな……鶏は昔捌いたことはあるけど……


「とりあえず行ってみるか……」











「俺の知ってるゴブリンと違う……」


 そう、確かに居たのだ。


 緑の肌は良い、しかしそれ以外は良くない。

 まず身長は180近く。

 筋肉モリモリ、ジーパンのような謎のズボンに、黒い革のボンテージっぽいのを上半身に着けており、さらに肩パッドに金髪角刈りと、世紀末スタイルである。


 両手にはメリケンを付けており、ヤンキー座りでイチゴっぽい果実を幸せそうに食べている。


 あれをヤるの?


 無理じゃない?


『あれはファイヤーゴブリンですね』


 汚物は消毒ダァ?!


『渉さんなら瞬殺ですね。

 戦闘力35000ですし!』


「もっと初級のでお願いします!!」


『居ませんよ?

 このあたり一帯も魔王グラトルの縄張りですし、弱い魔物はとっくに逃げていますよ?』


「何……だと……」


 やるしかないのか……


『はい、使えるのも火魔術だけですし、問題ないと思います!!』


 因みに『魔法』はアルテによる加護で使えるようになり、『魔術』は本人の努力で使えるようになったモノだ。

 勿論強力なのは、アルテの力による『魔法』である。


「……じゃあ、行ってくる」


 俺は姿を現し、ファイヤーゴブリンに近づく。


「?」


 奴はこっちを見てくる。

 意外とつぶらな瞳だ……


「っ?!」


 奴は立ち上がりこちらに手を出した。

 その手には……イチゴ……


にこっ


(良い人だああああ?!)


 しかも直に触るのではなく、葉っぱの上に載せるという気の使いよう……


 戸惑いつつも、俺はそのイチゴを一粒貰う。


「美味い……」


 さわやかな酸味と、練乳をかけて食べた時以上の甘みがあり、熟し具合も完璧……これなら一粒500円は出せる……


「ありがとう」


 俺は彼に感謝した。

 とてもこのファイヤーゴブリンとは戦えない。


 彼はフルフルと首を横に振り、気にするなというジェスチャーをする。


 あらイケメン……俺が女なら惚れていたかも……


「Boy♂Next♂Door?」


「ここで会ったが百年目!!

 人類の敵め!! 成敗する!!」


 そして戦いのゴングが鳴る。








「Oh……Thank you sir……」


 俺達は拳で殴り合い、何とか立っているのは俺だった。

 

 だが、勝ったが命は取らない……イチゴの恩だ……

 ファイヤーゴブリンと戦ったことで、スキルが使えるようになった。


 ファイヤーゴブリンは満足そうな顔で気絶している。


 そんな彼に、使えるようになった回復魔法を掛けて、ケガを直してから立ち去る。






『渉さん、渉さん!』


 やたらとテンションが高いな……


「何だ?」


『Boy♂Next♂Door? って何ですか?』


「……」


 メチャクチャ答え難い……


『何ですか?』


 アルテと瓜二つの美少女のイメージが送り付けられる……手を胸の前でぎゅっと握って、上目遣いだ……


「アルテが好きなものさ……」


『そうですか……それなら、いつか母から直接聞いてみたいですね……母と話せるときは来るのでしょうか?』


 そう、アルテとテノンは一度も会話したことが無いらしい……

 だからこそ、いつか話せるのならばアルテから直接聞きたいと願ったのだろう……


 うん、ごめん二人とも……そして何とか切り抜けてくれアルテ!


 ちょっと自分がダークな感じの人間になってしまったが、気にせず行こう!!













 日が暮れてきた。

 俺は拠点魔法を使う。


『明確にイメージして下さい。

 そして、丹田にある魔力で形作るように想像して、拠点魔法を発動するのです』


 イメージするのは我が愛しのアパートの一室サンクチュアリだ。


「拠点魔法!!」


 そして、目の前に我が家のドアが現れた。


「おおぉ~」


 中に入る


「おおぉ~」


 調味料や食料も、あの部屋にあった時のままだ。

 便利なことに、アルテのパワーで消耗品は補充されるらしい。


 俺が居ない間に、アルテがえっちらおっちら頑張って補充している姿が思い浮かんだ。


「おおぉ……おお?」


 だが、服が無かった……え? なんで?


 ……そう言えば終末纏めて洗うために、洗濯籠に溜めこんでいたのだった。

 その洗濯籠は無い……


「うそぉ~ん……」


 そして、今まで目に入ってはいたが、信じたくない光景が……



 一人暮らしの弊害か、いわゆるR-18的なものは、放り出してはいないが棚の中に保管している。

 つまり、隠してはいなかったのだが……なぜか机の上に山盛りにされており、きちんとジャンル別に仕分けられていた。




・人妻系……46アイテム

・制服系……52アイテム

・学生系……37アイテム

・ロリ系……43アイテム

・SM系エロゲー……138本

 あああああああああああああああぁぁぁっ!!!!!?????


 そして、置手紙と封筒があった。


『エッチなのはいけないと思います。

            

              アルテ』


「ぐふっ……」


 既に瀕死だが、一応封筒も確認するか……


「イ゛ェアアアア ??!!?!!?!?!」


 そこにはエロゲーに付いていた特典である、ブルマー、メイド服、水着等々秘蔵のコレクションを、万が一にも人が訪ねてきた場合の為に隠してあった。

 そんなお宝アイテムを恥ずかしそうに着用しながら、こちらを引きつった笑顔で見ているアルテの写真が出てきた。


 物凄く澄んだレイプ目だった……


『どうしてもという場合にお使いください。


                 アルテ』





「おえええええええっ!!」


 疲れていた俺は、余りの衝撃に吐いて気絶した……
















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