第2話 情の深い女が追いつめられると何をするか分からない……

3話目は、明日の9時に投稿予定です。


……シリアス×コミカルの次話のデータが全て消えたでござる……


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 俺の名は半藤渉ばんどう わたる、もう直ぐ三十路。


 ブラック企業に勤めるごく一般的な社畜だ。


 営業部に勤める管理職である。


 29で管理職? 凄いじゃん!!


 そう思ったアナタ……世間を知らなさすぎます。



 最近の管理職とは、『管』理者に本来の役割と違う業務を押し付けられ、自分の業務をこなしつつも、その仕事をこなす……出来なければ怒鳴られ、査定に響くという『理』不尽な目に遭いつつも、日々の生活の為、無茶な職務に従事せざるお得ない平社員。



 略して管理職です!!


 え?

 皆さんの所ではそう言わないの……?

 うそぉ……私の待遇酷過ぎ?!





 そして家に帰れば、短いが平穏な時間が訪れる。

 独身故に許される、俺だけの空間サンクチュアリ……


 二次元に住む嫁たちが、荒んだ俺の心を癒してくれる……


 え? 彼女?

 はっ! ブサm……フツメンの俺にそんなのが居る訳ねぇだろ!?


 ブサメンが10人並んだら、マシな方から3番目くらいのフツメン寄りのフツメンが俺だ。

 いいか? 俺はフツメンなんだ!

 頼む……信じてくれ……



 会社では実力主義をうたっているが、あくまで建前だ! 間違いない!!


 実際の社会には、イケメンかどうかが評価点の大部分を占めている。


 成績という目に見える証拠があるにも関わらず、俺の評価は低い……反対に、俺より成績が悪いイケメンは、俺より高評価だ。


 そんな俺が、ブサメンだなんて……どうすればいいのよ?!




 チームリーダーに任命された時、新入社員の女の子に残業をお願いしただけでパワハラだと訴えられ、速攻リーダーを降ろされた挙句、評価はダダ下がりでその月の給料10%カット……尚、別のダンディーな先輩社員が残業をお願いした時は、花が咲いたような笑顔で引き受けていたよ……


 だから、そんな俺は現実の女を信じないし、関わりたくない。

 そして、俺の聖域六畳一間にあげることも今後ないと断言できる!!





「ただいまぁ」


 アパートの近く部屋に対する世間体の為、「僕にも待っている人が居ますよ」と言わんばかりのアピールをしつつ、マイホームへ入る。


 玄関に入り、台所を抜け、必要だとは思えない寝室のドアを開くと……




がちゃ


「えっ?」


「ふぇっ??」



 女の子が居た。




がちゃ


……


「俺、疲れてるのかな?」


 目をごしごしと擦って、寝室に入る。


がちゃ


「……」

「……」


 シャワーの音だけが虚しく響き、外国人美少女が、その貧ny……スレンダーな裸体を晒して固まっている。


「……」

「……」


「ぃ……」

「い?」


「いやあああああああっ!!!!」


 その美少女のグーは、世界を狙えるね……がくっ……






「……」

「……」


 互いに落ち着いた後、元に戻った寝室に、久しく使用していない座布団を引っ張り出して、机を挟んで向かい合う。


「あの……」


「……」


 声かけ辛ぇ……


 なんてったってレイプ目光の無い目で、ブツブツ呟いているんだもん!


「私……何でこんなにダメなの……皆を救えないし……知らない殿方に裸まで……もう死んだ方が良いの?

 そう……皆……私も一緒に死んであげますからね……」



 怖えええええっ???!!


 いくら美少女でも、知らない女性が眼を開いてレイプ目で死ぬとか言ってますよ?!

 怖いでしょ?!

 なんかもう恐怖で思考がグチャグチャで何考えているのか俺だって分からないもん!!!


 何とか穏便にお取引き願えないだろうか……


「そうよね……私がダメならこの際……」


 ギョロっと可愛いお目目が俺を捕らえる。


 ヒェッ……俺の○○玉が縮んで皮が分厚くなる……あたかも冷たいプールで泳いだ時の様に……


「貴方様……お名前をお伺いしても?」


「斎藤ジョニーです」


 速攻で偽名を名乗る。

 だってどう考えてもメンヘラに本名知られたらマズいよね?


「この名刺によると、半藤渉ばんどう わたる様でお間違いないでしょうか?」


 いいいいぃやあああああぁぁぁっ??!!


 証拠を押さえてからの尋問……このひと……すごく有能……秘書に出来れば仕事の能率ドアップだね!?


 ガクガクブルブルする身体で、必死に無表情ポーカーフェイスを保つ。


 この時ほど営業をやっててよかったと思う瞬間はないね……ビビッていても自信満々でトークするのがセールスの基本だから!!



「何故、嘘をつかれたのですか?」


「……」


 こちらに非がある場合、下手に良い訳せずに、謝罪するのが最善手だ。


 俺はこれまでの人生で最も奇麗な土下座を披露する。


「申し訳ありませんでしたっ!!」









 彼女はアルテさんと言い、こことは別の世界の神だという。


 それを聞いた時、体の内側からくすぐられるような、どうしようもない衝動があふれ出る。


 必死にその衝動に耐えていると、いよいよ本題を切り出された。


「半藤様、アルテノンを救って頂けませんか?」


「はい、喜んでっ!!」


 異世界に行ってみたいとは思うが、見ず知らずの連中の為に、魔王とか危険な生物と戦いたいとは思っていない。

 だから 速 攻 ! 全 力 ! で断るつもりだったが、奇麗な瞳レイプ目で見つめられた上に、右手になんか尖った包丁っぽい刃物のようなアクセサリーが見えたため、「美少女のお願いなら仕方ないか♪」と快諾する。


 ちなみにこのアルテさん、18億s……ぎにゃああああああっ??!

 左手をアクセサリーでブスッと刺されたっ!!!!?


 このアルテさんは、(永遠の)18歳の様だ。


















「ならば契約条件を詰めよう」


「契約条件ですか?」


「ああ、アルテの説明通りなら、俺がアルテノンを救う代わりに、君の権能けんのうで、望む報酬を貰えるんだろう?」


「はい、その通りです」


 女神様(仮定)相手に、タメ口はマズかろうと思っていたが、アルテさんの、気を使わなくていいという脅迫のぞみを叶えるために、敬語を使わないようになった。

 また、名前も呼び捨てがお望みのようだったので、このような対応を取ることになっている。


 そして、俺が望む報酬を提示した。


・日本円で5億円


・健康な体


・幸運の加護


・禿げない頭皮


 以上だ。

 

 尚、あちらで過ごした時間は、こちらでは進まない様だ。

 つまりあちらで数十年暮らしても、こちらに戻った時は今の29才の体に戻っているということだ。


 後、現金でいきなり5億も受け取ると、いろいろと不都合が出るかもしれないので、そこは神様パワーでいろいろと弄るらしい……どうするのかは聞きたくない。


 そして、あちらは俗に言うファンタジーな世界であるらしく、文明度が気になったが、魔法があるため、こちらとそれほど文明の差はないらしい。


 だが、やはり世界が違うと色々と違うようなので、欲しい能力を尋ねられたので、いくつか希望を言えば、アルテは盛りに盛って様々な能力をくれる様だ。



・生活魔法(火を付けたり、飲める水を出したり出来るらしい)

・料理魔法(一度食べた料理を魔力で作り出せるらしい)

・精霊魔法(契約した精霊の力を、俺の戦闘力に上乗せできるらしい)

・膨大な魔力

・膨大な体力

・異常状態耐性

・回復力上昇

・拠点魔法(この部屋と同じような、俺の聖域を作れるらしい)

・転移魔法(一度行ったところなら、魔力を使って行けるらしい)

・収納魔法(なんか手ぶらなのにいっぱい不思議空間で持てるらしい……4次元ポケ……)

・回復魔法(自他共にケガも病気も治せます!)


 多すぎない? 大丈夫? 変な反動とかないよね?


「それと、様々な戦闘経験も、渉……さんにお渡ししますね」


 俺が協力するというと、彼女の目に光が戻ってきた。


 今まで一人で気の遠くなるほど頑張ってきたんだよな……だから、さっきよりも少し俺に打ち解けてくれたようだ。


 営業という業務上、非常にストレスがかかる。

 だから、後輩が出来ると、彼らの精神的なフォローにも気を使わないといけない。

 その経験が活きたようだ。


「渉さん……どうか、アルテノンをよろしくお願いします」


「ああ、出来る限りやってみるよ。

 俺も死にたくないしね……ところで、さっきの話じゃアルテの加護を授ける時って、人間なら限界まで与えても、魔王とかには太刀打ちできないんだよね?

 

 魔王を打倒できる力を授けるのって、俺に耐えられるの?」





 もしかしたら選ばれた男だから耐えられるとか?

 俺の中に眠る中二心がざわつく……






「えっと……男の子なら我慢できますよね?」


 てへっっと可愛らしく死刑宣告つげる。


 いいいいぃやあああああぁぁぁっ??!!







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