おさかなはあみの中
「おはよう、宣人お兄ちゃん……」
間近で見る彼、いや彼女の表情は微妙なニュアンスを含んでいた。
なんだか甘えるような微笑みと共に、俺は大変な事に気がついた。
ベットのシーツに包まれた俺は、真っ裸だった……
「き、君は女の子だったの?」
おっぱいに触れたままの事に気が付き、慌てて手を離す。
彼女は何だが形容しがたい表情を浮かべた。
「お兄ちゃん…… 昨晩はすっごく激しかったよ」
小悪魔的な表情で彼女が呟いた。
彼女の甘えた表情の意味が分かった。
えっ、 それって最後までって事?
俺の頭が真っ白になる。
全然、覚えていない!
胸を触られても驚かないと言うことは、もっと凄い事を
俺は昨晩、してしまったのだろうか?
覚えていない事を、勿体ないと思う
自分の馬鹿さ加減に呆れた。
慌てて、ベットの上で、フル土下座の姿勢になる。
「ごめん…… 責任は取るよ。」
それだけ言うのが精一杯だった。
頭の中には、古い大映ドラマの高校聖夫婦のような情景が浮かんできた……
俺の腕には可愛い赤ん坊まで抱っこしている情景だ。
彼女はフル土下座する俺に驚きながら、
シーツをまるでケープみたいに裸の身体に巻き付け、
俺をまじまじと見つめている。
「本当に、僕と付き合ってくれるの?」
僕!? やっぱり僕っ娘なの……
「うん、君を傷付けてしまったなら、責任は取るつもりだ。」
彼女の瞳にみるみる涙が溢れる。
「嬉しい……」
ああ、こうやって人は過ちを犯しながら、大人になって行くんだろう……
これが人生の年貢の納め時だとしても、俺は後悔しない。
「子供は一杯作ろう! 野球チームが作れる位、
そして九人目の選手は犬でいい」
あまりの動揺に、自分で何を言っているのか分からなくなる。
昔、見た古いアニメの設定を、そのまま話している自分が居た。
犬じゃ野球連盟に選手登録出来ないだろ、ってセルフツッコミをする。
彼女が俺にシーツごと、しなだれ掛かってきた。
「宣人お兄ちゃん…… 大好き!」
俺は彼女の重みを受け止めながら、これも一つの選択肢だな、と思った。
「んっ……」
彼女が長い睫を伏せながら、俺にキスを求めてきた……
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