3-23 コンビネーション・クレイモア【1】
「”コンビネーション・クレイモア”は、「地雷」を使った2対2で行うゲームだ。
各チームのメンバーは、地雷を仕掛ける「設置人」と地雷原を歩いて戦う「
ゲームは3ターン制であり、各ターンごとに役割は交代する。
1ターン目に「設置人」なら2ターン目は「
ゲームでは、フィールド上の1から20までの数字が描かれた、20個のマスを使っていく」
そう言うと、スイープは床に描かれた4×5に配置された20個の数字を指差した。
このマスが”コンビネーション・クレイモア”での重要な役割を果たすようだ。
「まず、ターンの最初に「入力ターン」に、各チームの「設置人」は20個のマスに3つずつ、地雷を埋めていく。この際に、同じマスに地雷を2つ埋めることはできない。
つまりは、「入力ターン」が終わったときに2チームで3個ずつ、計6個の地雷がフィールドに埋まってるってわけだ。
さて、地雷を埋める場所をどうやって指定するのかなんだが......、こっちに来な」
スイープは、部屋にあった仕切りの裏側へと向かっていった。俺たちはそれについていく。
仕切りの裏側は同じ大きさに区切られた2つの空間に分けられていた。
「このパネルで地雷を埋めるマスを指定するんだ」
そこには、壁に1から20までの光る数字が魔法によって描写されていた。
仕切りの裏の2つ空間は、全く同じ構造をしているようである。
片方からもう片方で何をしているを覗き見することはできない。
仕切りの裏側を見たことによって、俺は”コンビネーション・クレイモア”が行われる部屋の全容を知ることができた。
部屋は以下のようになっていた。
入口
┌────━━━────┐
│ ① ② ③ ④ ⑤ │
│ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ │
│ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ │
│ ⑯ ⑰ ⑱ ⑲ ⑳ │
│ ────┬──── │
│ 入力 │ 入力 │
└─────┴─────┘
スイープはルール説明を続けていく。
「各チームがひとつずつパネルを使っていく。パネルの数字をクリックすれば、地雷を埋める位置の入力は完了で、3つの数字を指定して3つの地雷を埋める。
それぞれのチームの「設置人」が3つずつ数字を指定、6個の地雷がフィールドに埋まったところで「入力ターン」終了となる。
設置人は「
その説明とともに、俺たちはフィールドの方へと戻っていった。
「「入力ターン」は終わった。続いては「戦闘ターン」だ。
各チームで先攻と後攻を決める。これもターンごとに交代制となる。
先攻になったチームの「
数字を選択した後で、フィールドが自動的にそのマスに地雷が埋まっているかを判定してくれる。数秒たっても無反応なら地雷なしだ。
一度どちらかの「
交代で1マスずつ踏んでいき、先に地雷を踏んだ方が、そのターンのゲームで負けになる。
味方の「設置人」は、味方の「
地雷が埋まった6マスを避けていくゲームってわけか。
「ちなみに、「設置人」がしゃべることは禁止をしていない。ゲーム中に何を言うのも自由だ。
ただし、全プレイヤー内緒話だけは禁止だ。会話をするときは、4人全員に聞こえるように明瞭に話をしなくてはいけない」
俺はルール説明に口を挟んで質問をする。
「両チームの「
「いや、このゲームに引き分けはない。その場合は、例えば6マスの地雷がある場所のみが残っていたとすると、次のターンは先攻の「
先攻の「
『パーフェクトゲームの場合は”先攻”が負ける』
地雷を踏みさえしなければ、後攻は必勝だ。
勝ち負けは必ず決まる。引き分けはない」
なるほどね。
「続いて、ポイントの説明だ。
お互いのチームは、最初「0pt(ポイント)」からゲームを開始する。
”コンビネーション・クレイモア”では、減点のみで加点をされることはない。
地雷を踏んでしまったチームは「−1pt」となる。3ターン終えて、ポイントが高いチームが勝利となる。
さらに、特殊ポイントの説明だ。
もし仮に、自分のチームの「設置人」が仕掛けた地雷を踏んでしまった場合、減点ポイントは2倍の「−2pt」となる」
味方の地雷を踏んだ愚か者には、制裁が与えられるってわけか。
敵の地雷以上に、味方の地雷を踏んではいけない。
「最後に”大爆発”の説明だ」
「大爆発?」
随分と物騒な呼び名である。
「お互いの「設置人」は同時に地雷を設置していくので、当然相手がどこに地雷を設置したのかは知らない。
埋めるマスが被り、1マスに2個の地雷が埋まっていることがある。このマスを踏んでしまうことが”大爆発”だ。
”大爆発”にも、減点ポイントは2倍のペナルティが与えられる。これに、自分のチームの地雷を踏んでしまった分のペナルティも重複する。
よって、”大爆発”を起こしてしまった場合は、「−4pt」だ」
3ターンしかないゲームの中で、「−4pt」になってしまったら、相手にも”大爆発”を起こさせるしかなくなる。
2度も”大爆発”が起こる可能性は低い。ほぼ負け決定となってしまう。
”大爆発”だけは、絶対に起こしてはいけないってことか。
「あぁ、後は地雷を踏んだときには、わかりやすいように、ちょっとした演出を仕掛けてあるぜ。心配しなくても怪我はしないさ。まぁ、楽しみに待ってな」
スイープはそう言った。
「というわけで、ルール説明は以上となる。
何か質問はあるか?」
「第3ターン終了時に、ポイントが並んでいた場合はどうなるんだよ。引き分けは避けたい」
「その場合は、延長戦の第4ターンを行う。第4ターンで地雷を踏んだチームの負けになる」
白黒決着は必ずつくようであった。
********
「どうだ、フェアなゲームだろ?」
「不正はないんだろうな?」
俺はスイープに問う。
「もちろんないさ。そうだな、もし俺たちが不正の証拠を抑えることができたら1,000万
「兄貴、随分と太っ腹ですね」
「イカサマなんてしねぇんだから、いくらに設定しようが関係ないさ」
スイープは自信ありげにそう言う。
金額をいくらに設定しようとも、俺たちがイカサマを警戒することには変わりがない。
「それでどうなんだよ。”コンビネーション・クレイモア”をやる気になったか?」
「リンリン、このゲームを受けてもいいか?」
「うん、キンがいいなら大丈夫だよ」
「よし、やろう」
俺たちは、ゲームをする決断を下した。
そんな俺たちを見て、ゴトリアが口を挟んでくる。
「ゲーム開始にアドバイスだ。これは2対2のチーム戦だぞ。”チームワーク”が勝負の鍵を握っているんだ」
「何が”チームワーク”だ!お前はいつも、俺の指示に従ってるだけだろ」
「兄貴。それで勝てるのも、立派な”チームワーク”ですよ」
2人でそんなやり取りをしている。
「ルールは理解した。だったらさっさとゲームを始めようぜ」
「威勢が良いのは今だけだよ、兄ちゃん。すぐに元気がなくなるさ」
俺たちは敵対心をむき出しにして、そう言い合った。
そして、睨み合った状態のまま、ギャンブル開始の合図をする。
「それじゃあ、”コンビネーション・クレイモア”スタートだ!!」
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