サッカー観戦彼女

さばりん

プロローグ 開幕1週間前の出来事。

 とある2月半ばの土曜日、リビングでのんびりとくつろいでいると自宅のインターホン鳴った。

 インターホンに出ると宅配業者の方が俺宛に荷物を届けに来てくれたみたいだった。

 俺は宅配業者の方から荷物を受け取り印鑑を押す。玄関のドアを閉めリビングのテーブルに届いた荷物を置いた。

 宛先を確認すると応援しているJリーグのサッカークラブからの荷物だった。どうやら今年もチケットが届いたみたいだった。

 

 俺はその荷物の中身を確認するために袋をベリっと破る。


 中には特典のタオルやチケットホルダーなどに加えて、今年は雑誌や様々な者が付いていた。その中から白い一枚の封筒を見つけ、俺はその封筒をハサミで丁寧に開ける。

 そこには、プラスチック製のICチップが組み込まれたICカードのような形をした長方形の日かった文字で「年間チケット」と書かれたカードが送付されていた。今年も俺は年間チケットを購入した、たくさんの試合を見に行きたいと思っている。

 

 俺はチケットを手に持ち改めて新シーズンが幕を開けるのと同時に、彼女との楽しい思い出をたくさん作っていきたいとそんな妄想を膨らませていた。


 次の日、今日はJリーグ開幕前の前哨戦が行われる。昨年のリーグチャンピョンと天皇杯優勝チームによる試合だ。

 

 俺が応援しているチームは、昨年優勝できなかったので、今年はテレビで試合を観戦することにする。今年こそ優勝して来年この前哨戦を応援しに行きたいという気持ちを抱きながら試合を観戦していると家のインターホンが鳴る。


 なんだろうと思い、俺はインターホンに出る。すると昨日と同じ宅配業者の人が再び荷物を届けに来てくれたらしい。俺は宅配業者の人から渡された証明書に印鑑を押して荷物を受け取った。


 玄関のドアを閉めて戸締りをしてから、その荷物をテレビの前にあるリビングのテーブルの前に置く。

 宛先を確認すると、またもや応援しているサッカークラブからの荷物であった。

 

 なんだろう?と思いながら袋を開ける。

 そこには、一枚のユニフォームが綺麗に畳まれて包装されていた。


「おう…」


 と俺は思わず感嘆の声を漏らしユニフォームを包装の袋から取り出し両手で広げた。


 見事な色合いと線とのコントラストがなされている綺麗なユニフォームだった。

 俺はこの時、ふと彼女のことを想像する。彼女がこのユニフォームを着たらどんな感じになるのだろう?

 つい、手元に持っているユニフォームを着ている彼女の姿を妄想して期待を膨らませてしまう。

 

 そんなことをしているとテレビの中から大きな歓声が上がる。

 テレビに視線を向けるとどうやら片方のチームが先制点を取ったみたいだ。テレビの画面には喜びを爆発させている選手たちとサポーターの姿があった。

 

 あぁ、早く開幕戦にならないかな…俺もテレビの中の人たちみたいに彼女と喜びを爆発させながらサッカーを観戦したい。

 俺はそんなことを思いながらユニフォームに袖を通す。

 着終えると少し気持ちが締まったような感覚になり、今年もついに新しい戦いが始まるなと実感する。


 俺はそんな期待を膨らませながら開幕戦を待ってはいられない気持ちになったのであった。

 

 Jリーグ開幕1週間前、まもなく新シーズンが幕を開ける。

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