童の歌

ランダムウォーク

第1話 童

異世界とは何だろうか。

地理的なものであろうか。言語・文化的なものであろうか。


あらゆる形態で記され、伝達する異世界には共通点はあれど一致点は少ない。

魔術と呼ばれるものがある場合も、魔物と呼ばれるものもいる場合もある。


ただ一つだけ言える。

語り手が生きていける環境を世界と呼び、我々は認知するのである。


この世界には語り手がいなかった。

故に今まで気づかれず、無視され続けてきた。


認知されないものは存在しない。

どこかの存在が放った言葉に従えば、この世界は死んでいた。


しかし、その死にも終わりはある。

今日この時、童がこの世界を見つけた時、この世界は産み落とされたのである。

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