リンゴと時計

 白に赤

 中心から円周に伸びる芯

 内部の黒点が抱く生命

 近づいてみればそれは大きく

 いずれ姿を変えて世界をめぐる

 有形の無限


 黒に白

 中心から円周に伸びる針

 表面の黒点が刻む時間

 離れてみればそれは小さく

 いつも同じ形で盤上をめぐる

 無形の有限


 目に映る世界で事象と概念が重なる

 時計をかじる音と共にリンゴが時を刻む


 人という存在が光の中に世界を見た

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テイメイの小言 傍井木綿 @yukimomen

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