嘘の罪

のんこ

プロローグ

 彼女が死んだ。別に突然だったわけではない。


 4か月前医者から、もって半年でしょうと言われたのだ。


 その時は、そんな現実が怖くて悲しくて信じたくなかったが、徐々に受け入れていったつもりだった。


 受け入れていったはずなのに、俺は彼女の葬式で泣いてしまった。


 俺は生まれてからめったに泣くようなやつではなかったが、その時だけは、泣きたくないと思っても泣いてしまった。


 あぁこれが愛なんだなと、俺は本当に彼女を愛していたんだなと湿ったハンカチを強く握りしめながら思った。



 彼女の病気は、彼女曰く、「痛くもかゆくもない」らしい。


 でもそんな「痛くもかゆくもない」病気によって、何の罪もない彼女が死ぬのはおかしいではないかと、得体の知らない神様とやらを恨んでやった。



 でも彼女はそんな状況に陥っても、まるで何ともないかのように明るくふるまってくれた。


 もともと彼女が明るく素直な性格だったせいかもしれないが。素直な性格故彼女は俺に一回も嘘をついたことがないだろう……。



 ……いや、一回だけあった。


 あれは確かまだ付き合ってない時だった気がする……。

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