第2話残酷な妥協
「サインしていただけないのでしょうか」
厳しい視線と鋭い言葉が刺さる
「僕もわかってはいるけどさぁ、怖いものは怖いしぃ」
「では、人類滅亡がお望みですか?」
「いや、そうは言ってないよね!?」
何度繰り返したかわからないが気は滅入る一方
なぜ夏休み初日から自分の生死について考えねばならないのか......
「君は天使なの?」
「はい。」
「羽は?」
「なぜ下等な鳥類と同列に扱われているのかわかりかねます。」
「それはごめん」
「では...」
「いや!そんなに重い罪!?」
「はい。私は”鳥類と同類に扱われると”アレルギーなのです。」
「100%嘘だよね!?よく騙されると思ったよね!?」
「チッ」
「......」
怖いよ。なんでこの子は真顔で自殺をせがみ、嘘をつき、舌打ちするの!?
正直、舌打ちが一番怖いよ......
「あ!そうだ!」
「どうしたのですか?」
「僕は正確には、あと何日後に世界を滅亡させるの?」
「もしや、それより早く!?」
「違うよ!物騒だなぁ......」
「正確には残り364日ですね。」
「数字が出ると一気にリアリティが出るな.....」
「それがどうか?」
「つまりね、自分で言うのも嫌なんだけど...363日後にサインしても間に合うじゃん!」
「嫌ですよ。仕事は後に残したくないんです。」
「私的理由!?」
「まぁ、わかりました。上司に進行状況を知らせなければなのでこのままでは強硬手段に出るところでした。」
「社会的だね!?強硬手段とか怖い単語本人の前で言わないで!?」
「では、そういうことで。」
「う、うん」
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