まどろみ

朝がまだ昇りきらないうちに僕は目覚めた

スマートフォンの目覚まし時計が鳴るまであと2時間もあって

なにもしないのには長いけれど再び眠るには短い時間

僕は街を散歩することに決めた

冷たい水で顔を洗うことをせずに


脳の後ろが冷やされるような街の温度

吐く息が白くならないのが不思議なくらいで

信号が青になった瞬間僕は

大きなあくびをしてしまった

僕はレーサーにはなれない


人が湧いてくる、清水のごとく

姿は見えないラジオ体操の音

朝練だろうか、体操服姿で走る中学生

どこかで見たことある顔の人が犬を連れて散歩している

コンビニの駐車場からバイクがのそのそと出ていく

夜から帰ってきた人と朝に向かう人がすれ違う

黄金のまどろみがちらちらと電柱の上を漂っていた


自動販売機で買った温かいコーンスープを飲みながら僕は

今度は君を連れてこようと思いながら

やっぱり家帰って寝よ、とつぶやきながら

朝はどこから来るのかなんて小学生めいた疑問を改めて抱いていた

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