強い風は顔面で受けろ
高層ビルが街を歩いている
一歩二歩 三足飛びに
そのビル風に煽られて
私は揺れていた
私の横髪が揺れていた
私は風に顔面を向ける
相対するため
立ち向かうため
風と戦うため
ではなく
ただ私の横髪が
私の視界を遮らないために
風見鶏は嘴で風を受けている
私も嘴をきゅっと突き出した
たちまち乾く私の嘴
グロスのひとつでも塗っていれば話は違ったろうが
あの鈍色の風見鶏は
グロスなんてつけていないだろうから
ただ嘴を突き出し続けた
風が顔面を吹き回る
ただひとつの残響も残さずに
やがてビルたちは去り
視界を遮るものはなく
私はどこへ顔を向けていいかわからず
ただその不自由な自由に狼狽した
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