引き伸ばされた舗装路
いつも通っている舗装路が縦に横に奥に引き伸ばされていた
比喩だとか心情描写だとか幻覚だとかではなく現実に
少なくとも僕の知覚するそれらは引き伸ばされていた
巨大化した標識巨大化した側溝巨大化した電柱に巨大化した信号機
信号機が落ちてきて僕たちは潰れてしまう
電線が僕を絡めとり大きな蜘蛛が糸を吐きながら近づいてくる
側溝の中に僕たちの汚れた骨が埋もれている
標識は……とくになにもないが
そんな想像が僕を溺れさせた
人々はいつもと同じ様子で 同じサイズで歩いている
この引き伸ばされた舗装路に気づかないのか
僕らはまるで小人のようだ
取るに足らない矮小な存在であるかのようだ
この舗装路の悪意に気づかないのか
僕は両手で
自分の頬を引き伸ばそうとした
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