第四百六十九話 三姉妹の絆編 その十七

三姉妹の絆編 その十七

 

 その後江代と心美は三連続で戦い、結果はお互い一勝一敗二分の引き分け。

 ただ、江代の能力が長い努力の上で手に入れたものである事を計算に入れるなら、実質江代の負けのようなものである。

 

「闇の騎士でも、貴様を下す事が出来ぬとはな……」

「良い勝負でしたね。楽しかったです!」

 

 爽やかな笑顔で、江代に手を差し出す心美。

 

「戦いの後に相手に敬意を示せるとは、貴様も騎士たる資格はあるようだな」

 

 江代もいつものように不敵に笑う。

 

「ふっ、良かろう。吾は貴様を認めてやる。また貴様と戦う時を楽しみにしておこう」

 

 心美の手を握る江代。

 

「あの茶番は何ですの?」

「私に聞くな」

 

 厨二病の友情はよく分からん。

 

「では、行こうか」

「はい」

「だな」

「……」

 

 おい。

 

「サササ……」

「待てコラ」

 

 ガシッ。

 

「なななななんですの!?」

「お前自分でした約束すら忘れるとは良い度胸だな」

「ゑ? 何の事ですの?」

「悪いが約束は絶対に守らせる主義だ。ちゃんと買えよ」

「……はい」

 

 これやるとまた姉さんに似てるとか言われるんだよな……。

 

 姉さんって誰? By作者

 

「しーらね」

 

 二つの意味で。

 

※※※

 

「容赦ないですわね……」

 

 購入した服は、一着二万円のブランドもののドレス。

 

「可愛いですね、この服」

 

 嬉しそうな顔で服を見る心美。

 

「悪意が無いのが余計に気分が沈みますわ……」

 

 言わずもがな美咲の財布のライフはゼロだ。

 オーバーキルしても良いのだが……。

 

「な……何するつもりですの!」

「いやあ、昼飯まだだからお前にカツアゲさせてでも私達に奢ってもらうか考えてた」

「淀子さんいないからって淀子さんみたいな事言わないで欲しいですの!」

 

 まあ冗談だが。

 

「ズルいですわ! 私がそう言った途端に!」

「私がどう思われようと構わねえ。だが貧乳と姉さんに似てるとかは絶対御免だ」

 

 多分誰でもそうだと思う。

 

「それからお前と仲良いとか言われるのも嫌だからな」

「え? 違うんですか?」

「ちげえよ! お前私が友達に悩んでるから友達になったんじゃねえのか!?」

 

 どいつもこいつも自分で言った事忘れんなし。

 

「でも、そんなに仲が良さそうに話してますし……」

 

 いや……どこがよ。

 

「そうですわ! そんな事より金がありませんわ……」

「もうバイト探しは協力しねえからな」

「そんなに仲悪いんですかね……」

 

 空気読まずに勝負挑む所直さない限り一生仲良くはならん。

 何度でも金を奪う。

 

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