第四百六十話 三姉妹の絆編 その八


 私は心美を連れ、自宅へと到着した。

 

「ここが初さんの家……」

「ホントにお前、何見てもその顔だな」

「友達の家に、これから住むなんてあまり体験出来なそうですしね」

 

 確かに漫画とかでしか有り得なそうだしな。

 ……京極先輩だったらGAN〇Zの〇野みたいにアレ買いに行くんだが……。

 

「はあ……私何やってんだろ……」

「どうしました? 嫌なら公園に

「ここまで来てよく図々しくならねえな……」

 

 仮にも私も彼氏がいる身。

 あまり色んな人に誤解されるとマズい事になりかねねえ。

 

「良いか? あまりベタベタするなよ? あくまで捨て猫を拾ったのと同じ感じで家に入るからな」

「にゃー」

「そんな面白くねえ天然ボケは要らねえ」

 

※※※

 

「ただいま……」

「お邪魔します」

「あらお帰り初ちゃん」

 

 お袋が出迎える。

 

「あらあら、連れてくるって言ったのはその子かしら?」

「まあな」

「お名前は?」

「上杉心美です」

「心美ちゃんね……。これからしばらくよろしくね」

「は、はい!」

 

 心美は笑顔で頭を下げる。

 お袋も優しそうな母を演出してきているが、無駄だ。

 あとで全部バラしてやる。

 

「あらあら初ちゃん、あることないこと話しちゃダメよ?」

「全部ある事だからな?」

 

 てか心を読むな。

 ただでさえ心美は心の声読めねえのに、こんな会話してたらおかしな奴だと思われる……。

 特大ブーメランになっちまうぞ……。

 

「取り敢えず上がっても大丈夫ですか?」

「あ、良いわよ。江代ちゃんにも挨拶してね」

「はい!」

 

 そのまま二階へ向かう。

 

「それにしてもあの子は心を読めないのね」

「ああ。作者がシリアスキャラとしてこの世界の住人にしたらしいからな」

 

 まだあいつギャグキャラみたいな事しかしてねえけど、ホントにどういう設定持ちなんだか……。

 

「もし江代ちゃんに危害を加えるようなら消し飛ばすから大丈夫よ」

「程々にな」

 

 まああいつに害はないと思うけど。

 むしろ過保護な上に頭がアレだから心配になる。

 

「それにしても今日は淀ちゃんがいないから三人分しか用意出来てないわ……」

「……は?」

「当たり前でしょあんないきなり言われたんだから」

 

 ま、まあこれは私が悪いか。

 

「心美と分け合うから別に良いよ」

「そうしてくれると嬉しいわ」

「取り敢えずこれからしばらくは四人分な。どうせ姉さんしばらく帰ってこねえんだし」

「はいはい」

 

 ……。

 

「取り敢えず二階に行くか」

 

 来て早々厄介事起こしてないと良いが……。

 

※※※

 

 ドアをノックし、扉を開ける。

 

「ただいま……」

「初さん助けてくださいッ!」

「うおあっ!」

 

 急に私は心美に抱き着かれる。

 

「なんだよ心美……」

「貴女の妹さんが変なんです!」

「変?」

「ふっ……貧乳の銃士が関わる者にろくな者はおらぬからな。もし吾に触れるなら……容赦はせんぞ?」

 

 どうやら心美はまだ江代の頭の中では賊らしい。

 

「こいついつもこんなだから平気だ」

「そうなんですか?」

「お前と同じくらい頭の螺子は飛んでるな」

「貴様……そこの者と吾が同等だと!? 寝言は寝てから言いたまえ!」

「それにしても子供部屋はここだけですか?」

「おう」

「貴様ら無視をするな!」

 

 ……。

 

「そろそろ個人の部屋が欲しい所だけど、このままだとずっとこれでキープしそうな勢いだな」

「私初さんの隣で良いですか?」

「江代よりはマシだからな。良いぞ」

「ありがとうございます!」

「吾を放置して話を進めるな!」

 

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