第四百十八話 節分 その三


「じゃあ早くじゃんけんを

 

「待て」「待ってください!」

 

「何よ二人とも」

「恋……お前もだ」

「は?」

「お前も参加しろ」

「?」

「お前研究には犠牲が付き物って言っただろ? だったらお前も参加しろよ」

「待って! 私が淀子と戦ったら死ぬわよ!」

「大丈夫だ。多分生き返れる!」

「信じて良いのよね……?」

 

※※※

 

「じゃあ行くぞ……」

「はい」「ええ」

 

「「「さいしょはグー!! じゃんけんホイ!!」」」

 

 ……あいこ。

 

「もう一度だ!」

 

「「「さいしょはグー!! じゃんけんホイ!!」」」

「「「さいしょはグー!! じゃんけんホイ!!」」」

 

 ……。

 

「「「さいしょは

 

※※※(カット)

 

「よし!」「勝ちました!」

「……」

「恋良かったな。研究の為に犠牲になれるぞ」

「博士! 頑張ってください!」

 

「こ……こいつらああああああああああああッ!」

 

 やったぜ。

 

「ど……どうすれば良いのよ。戦闘力皆無の私にどう淀子と戦えと……」

「てか……そもそも何が必要なんだよ作るのに」

「そうね……まず必要なのは敵の攻撃力と防御力を知る事ね。それも色々計算して……」

「なんかめんどくさそうだな……」

「それをやりたいと言ったのは貴方なんだから、本来は貴方がやるのが筋の筈なんだけどね……」

 

 つまりこいつ。攻撃受けたり攻撃与えたりしながら、計算もするのか……。

 

「いやかなり無謀な挑戦よ。自分の身体が凹んだりするのを見ながら計算とか……」

「まあでもな……お前が言った言葉は守らないとな」

「もう考え方改めて良いかしら?」

 

※※※

 

「という事で……」

「お前どんだけ鎧着こむんだよ。それ作るのにも時間掛かってるし……」

「豆まきまで時間ないんでしょ? これでも頑張って二時間で作ったのよ。それに私が身体張らなきゃいけないし……こんなの理系の仕事じゃないわよ」

「私も言うて体育会系とかじゃねえぞ」

「嘘おっしゃい」

 

 どちらかと言えば姉さんだけどな。

 

「博士! ご武運を!」

「あとで命令に背かないように改造しても良いかしら?」

「そういう手使うなんて卑怯ですよッ!」

 

※※※

 

「ハハハッ! 金金ェっ!」

「嫌だああああああああああッ! 鬼が! 鬼女だ!」

「ふぅ……」

 

「……」

「ヘイ! 博士ビビってる!」

「初さん……流石にそのノリは……」

「いやあ……私は普段いじめられてばかりだからな。たまには誰かをいじめて楽しまないとな……」

「顔! 顔が怖いです!」

 

 そんな事を言われてももう反応しねえからな。

 

「胸は相変わらず可愛いですが」

「ぶっ壊すぞ」

「ひいいッ!!」

 

 人にはいじってはいけない箇所がある。

 顔は別にいい。だが胸はダメだ。

 

「うううううう……」

「博士……全然行きませんね」

「そうだな……」

「あの装備作るのに二時間……そしてこれはどれくらいかかるんですかね?」

「うううううう……」

 

 早う行けや!

 

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