第四百十一話 〇E風青春ドラマ その二


「負けませんわ!」

 

 意気込むのは良いが、流石に荷が重い気がする。

 

「ではまず……本城ホンジョウさん」

「あたしか?」

 

 なんかまた聞いた事ある苗字だな。

 

「いや……さっきから聞いてるけど初ちゃんどういう漫画読んでるの……」

「実写で〇栗旬が出てる奴だぞ」

 

 まあアレ原作のストーリー使われてねえけど。

 

「この爆弾を持ちなさい」

「ゑ? なんで?」

「そして敵に向かって走りなさい」

「嫌だと言ったら?」

「私が消します」

 

 グラサンに掛け変えてから言うな!

 

「副会長! いきなりそれは!」

「黙りなさい! 勝利の為なら……犠牲なんて厭う暇などありませんわ……」

 

 こいつが来年生徒会長になるって考えたら怖いな。

 

「逝きなさい」

「う……うおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 

 待て早まるな!

 

※※※

 

 本城は死んだ……。

 

「あたし……役に立てたよな……?」

「ええ。役に立ってましたわ」

 

 おい。ちゃんと近付いて言えよ。

 

「貴方の死は……決して無駄にはしません」

 

 ……。

 

「人が死ぬシーンって大体泣けるのが多いのに……なんでこれは泣けないんだろう……」

 

 考える必要は多分ないぞ。

 

※※※

 

「さあ……私達は死を恐れませんわ」

 

 もうお前以外の仲間全員怯えてるけどな……主にお前に。

 

「仲間すら平気で……殺せるのか……」

「さて……次は誰を爆殺しましょうか……」

「ひいっ!」

 

 仲間と敵……両方から悲鳴が聞こえる。

 

「貴女……」

「やめろ……副会長! 私はまだ死にたくない!」

「勝利の為です。今度は三人まとめて殺しなさい」

 

 F〇で三人まとめてとか出来ねえから!

 

「やれないじゃありません。やるんです」

 

 ……。

 

※※※

 

 こうして……沢山の犠牲はあったが、美咲は敵リーダーとの戦闘にこぎ着けた。

 

「最後は貴方ですわね」

「来るな……来るな……」

 

 最初の雰囲気とは嘘みたいに正反対である。

 

「親友ですら殺すなんて……美咲ちゃん怖い……」

「……」

 

 あいつに友情という概念があるのか怪しいな。

 

「友情? そんなもので私は皆さんと繋がっていませんわ……」

 

 だろうな。

 

「私は……支配しているのですわ。皆さんを……」

 

 知ってた。

 

「冷静だね……」

 

 あれだけ醜態曝してる時点でな……。

 

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