第三百八十二話 淀子、五億年ボタンにチャレンジ その四

 

 二億年後。

 

「……私は……神……」

 

 何か背後に生まれてる……。

 服も着てないし。

 

「某最高司祭みたいな感じになってきてる……」

「……この世界で、私は神になる。私が全ての世界を……創る……」

 

 確かに五億年ボタンで億単位が経過した時に変化が起きるのはテンプレだけど……マジモンの神になりかける奴とかここが初めてじゃ……。

 でも何をする気なんだ?

 

「……」

 

 姉さんの身体が光る。

 金色に。メガ〇テでも放つ気だろうか。

 放ったとて死ぬことはないが。

 

「一億年掛けて気を精密にコントロールする術を得た私なら、世界を再構築する事だって……今は不可能じゃないわ……」

 

 ゑ……ええ?

 

「はああああああ……ッ! りゃあああああああああああああッ!!」

 

 そして黒い世界に、亀裂が走る。

 姉さんの力に耐え切れない世界は、みるみるうちに破壊されていき……。

 

「……」

 

 黒い世界が消えた……先にあるのは白い世界。

 姉さんは地に足を付ける事なく、浮いていた。しかも金色のままで。

 

「……今から……私は世界を生み出すわ」

 

※※※

 

 三億年後。

 更に高まった気により、姉さんは生命を作る事に成功した。

 

「完全に某漫画のルールに違反してるのに五体満足なのがすげえ……」

「まあ錬金術じゃないし良くない?」

 

 そして姉さんが作り出した生命は活動するだけでなく、繁殖する能力もあるという優れもの……。

 

 十年、百年、万年.

 時間が経つ事に、文明が生まれは消え、生まれは消えていく。

 そしてそれを天から見守る姉さんは……まさに神と呼ぶに相応しい存在になっていた。

 

「……すげえ……」

 

 私に言えるのは、この一言。

 しかし……この世界も長くは続かない。

 

※※※

 

 四九九九九九九九九年目。

 

「約束の時……創造神淀子様の帰還と共に……この世界は終わりを迎える……」

「……」

 

 そういう予言が、世界中に散りばめられる。

 

「残酷な運命ね。明日には、この世界は滅びる」

「そんな……」

「怖じる事はないわ。世界が終わり、全てが無に帰る時、あらゆる生命は救いを得られる。私が世界を創った時、貴方方は私の言葉を信じ生きると誓った筈」

「はい!」

 

「いつかまた……ここではないどこかで」

 

 ……。

 

「貴方方と私が会える事を……私は信じているわ」

 

 白い光が、姉さんの姿を包む。

 そして……姉さんが長い時を掛けて生んだ世界もまた……消えていく。

 

※※※

 

「……なんか凄いものが見られたね」

「同感だ」

 

 見直したわ。あの馬鹿が全知全能の神になるなんてな……。

 

「ちょっと姉さん崇めてくる」

「あ、初ちゃんボタンあとで返してもらってよ!?」

 

※※※

 

「いやあ……儲かったわ」

「ふっ、凄まじい……これがそのボタンの魔力……」

「ただいま戻りました神様!」

「……? 何よ気持ち悪い」

 

 なんで記憶消えちゃうんだよそのボタン。

 

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