第三百八十話 淀子、五億年ボタンにチャレンジ その二


 一ヶ月。

 

「初死ね初死ね初死ね……」

 

 私への呪詛を吐いてたのか……。

 

「でも面白いな」

「取り敢えずまだ面白そうな場面ありそうだから見てみたいけど、正直この呪詛がまだ続くと思うとな……」

 

 まあ馬鹿があの世界行ったらこうなるのは分かってたが。

 

「どうしよっかなあ……」

 

 どうするんだ?

 

「この世界ぶっ壊せないかな?」

 

 無理だ。

 

※※※

 

 半年後。

 

「もう半年ね……。季節が変わらないとか気持ち悪いわね。あの貧乳並みに」

 

 こんな事言ってたのか殴りたい。

 

「てかこの世界だと吐いたりとかもないんだな」

「そもそも腹が減らないし体調が悪くならないんだから、吐くなんてないと思うけど」

「てかあの貧乳のせいで……絶対殺すわ……」

 

 まあ全部忘れてるしOKOK。

 

「てか初っていつの間にあんな極悪人に……」

 

 お前に言われたくない。

 

「いやさっき淀子ちゃん達は見てないだろうけど、優香ちゃんが去った時の初ちゃんの顔とか新世界の神に

 

 勘違いだ。

 

「ゑ……そうなの?」

 

 私が『計画通り』とかそんな笑み浮かべるわけないだろ。

 

「今浮かべてたよ」

 

 ゑ?

 

「うん。凄い悪人面だった」

 

 元からじゃないの?

 

「いや、いつもより」

 

 マジかよ。 

 

※※※

 

 五十年後。

 

「ああ……老けないって良いわね……」

 

 むしろお前サイヤ人体質だからマジで老け無さそうだな。

 もうこっちで過ごした時間より長い時間生きてるな……。

 

「もうおばあちゃんだな」

「精神も老けないけどね。だってほら」

「……初……絶対後で殺してやる……」

 

 ホントだ成長してない。

 

「てか姉さんの場合普通にありそうだから怖い」

 

 私がおばあちゃんになった後とか想像したくもない。

 

「なんというか淀子ちゃんって三姉妹一長生きしそうだよね」

 

 どっちがいいとも言えないな。

 

「なんで?」

「よく考えてみれば分かるけど、私が姉さんより先に死んだら姉さんに負けた気がするし、姉さんが私より先に死んだら姉さんの葬式をやんなきゃいけないんだぞ」

「あ、律儀にやるつもりなんだ」

 

 いくらなんでも放棄したら警察に捕まる。

 あと世間体が悪くなる。

 

「むしろ周りがざまあとか言いそうだからいっそやらなくても良くない?」

 

 確かにそうだな……ニヒヒ。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る