第三百四十六話 かくなる上は


「おっと……」

 

 どうやら、また私視点に戻れたらしい。

 

「戻れたばっかは変な感覚なんだよな……」

「せんぱぁい……」

 

 奈々子が泣きながら近付いてくる。

 

「負けたのか……」

「あい……」

 

 しかもレギュラーキャラ入り……どうすんだこの状況。

 

「正直暫くしたら作者に忘れられそう」

「酷いです!」

「まあそんな事はどうでも良いから焼肉奢れ」

「いやあああああああッ!」

 

 流石に中学二年の女の子にそれは酷いな……。

 しゃーない。奥の手だ。

 

※※※

 

 取り敢えず放課後まで待ってもらい。

 

「江代」

「ふっ……なんだ貧乳の銃士。吾はこれから忙しいのだが」

「今日は彼氏とは会えねえんだろ? 検査らしいし」

「見破られたか。して、吾に何用だ?」

「お金貸して」

「……貴様馬鹿か?」

 

 お前貸しても貸し切れない程金持ちな癖に。

 

「吾が貴様なぞに金をやるわけなかろう。それに貴様が先輩と付き合うのを協力する事で手をうっただろう。二つも要求するのか? 強欲者」

 

 なんかすげえ大罪人みたいだな。扱いが。

 

「いやそれはそれとして、私じゃないんだ。こいつ」

「うう……江代先輩……いや江代令嬢……」

 

 江代に抱き着く奈々子。

 

「な、なんだこんな可愛らしい子は……」

 

 しめたこいつは年下の可愛い奴に弱い!

 

「な、泣くな。何だか知らんが二十万くれてやる!」

「い、良いんですかぁ……」

「ああ。だが気になるな。吾も同行してよいか?」

「姉さんいるけどそれでも良いなら」

「ふっ……仕方ない」

 

※※※

 

 連れてかないとは言われたが、江代を泣かせると後が怖い事を知ってる姉さんがすんなり仲間に入れてくれた。

 江代は本当に騎士なのかも知れない。

 

「くぅ~人の金で食う高級焼き肉は美味いわ! そう思うでしょ皆!」

「はい! 淀子先輩!」

「私淀子先輩に一生ついてきます!」

 

 馬鹿みたい。

 

「すみません。あたしの友達芸能人みたいな顔の人に弱くて……」

「性格を考えて欲しいよな」

 

 こいつ顔がこれだからモテてるように見えるけど、実際恐れてる奴の方が多い筈だから。

 

「それにしても江代令嬢に会えるなんて思ってませんでした!」

「ふっ、我が配下に会えるとは。この日を感謝しておる。しかも今日は、このような可愛い年下だとは……」

「やめろショタロリコン。彼氏に言うぞ」

「吾は貴様と違ってレズではないぞ」

 

 私もレズじゃねえよバーカ。

 

「うう……」

「だから真に受けるな怖がるな!」

 

 ……あーもう。肉食べよ。

 

「牛タンは淀子先輩にあげなよ貧乳」

「オメエら殴っても良いか?」

 

 テメエらの謎ルールは知らねえんだよ。

 

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