第三百二十四話 江代の恋 その五
異世界道具店。
「こんばんは……」
「初ちゃん! 初ちゃん初ちゃん初ちゃん! 初ちゃん初ちゃん!」
「いや落ち着け遠藤。どうした?」
「今日のアレどういう事よ! 江代ちゃんが可愛げ男と……仲良く!」
私はそれより真〇ちゃん呼ぶノリで名前呼ばれた事が驚きだよ。
「江代最近彼氏出来たらしいんだ」
「あの江代ちゃんに!?」
「やっぱお前もそう思うか?」
だよなあ……。
「ところで何でこんな時間に?」
「実な、私と江代の会話をお袋が聞いてて、今日は赤飯だとか言ってたら流石にマザコンの江代もちょっと引いてて……」
「なるほど?」
「それで江代はそのまま家でお袋の相手してるけど、私はいてもいなくても変わんねえから出て来たってわけ」
「ほほう」
この時間に女子高生が出歩いてるとか犯罪に巻き込まれそうだが、まあここなら補導される事もないだろう。
「取り敢えず帰りは家まで送ろうか?」
「その場合お前が誤解される気がするんだが……」
「そうでした……」
気持ちだけで十分だ。
※※※
「ところで美咲とは上手くやれてるか?」
「まあな」
「……料理はさせてないよな」
「させない」
「よろしい」
安心だ。
「あ、淀子ちゃんは家にいないの?」
「いねえよ」
「へえ……学校は?」
「サボり」
ただでさえ成績ヤバい奴なのにな。
「ホントあいつが遠出すんのは油断出来ねえぞ?」
「?」
「あいつすぐに私の名前で領収書発行するからな」
「そりゃ酷いね……」
金が絡むとあの姉さんはろくな事がねえ。
「ライブかな?」
「おう」
「俺も実は行こうか迷ってるイベントがあってさ。心夜君の親友……つまり俺の作者がここに来た時に、サークルの手伝いしてくれとか言われてるんだけど、美咲ちゃんに店番させるのは危ないしどうしようか考える」
「あれだろ? 作者も行ってるオンリーイベだろ?」
同人誌販売はギャンブルじゃあとか騒いでたな。
「そうそう」
「というか同人誌十冊が一日で売れただけでハシゃぐ馬鹿だからなあ」
「うーん……何とも言えないなあ」
※※※
「そういえば今日は江代ちゃんが凄い顔してたよ」
「マジでか」
私は店の中にいた時は後ろ姿しか見てないからな。
「あの珈琲飲んでた時か。何飲ませたんだ?」
「ストロングコーヒー」
「絶対江代には無理な奴だ!」
普通にブラックコーヒー大丈夫な私でもそれは無理です。
「江代ちゃんが彼氏さんの前で弱いフリは出来ないからって言ってきてね……」
「あいつも変なところで強がるからなあ」
「彼氏さん笑ってたなあ」
やっぱりお似合いだなあ。
先輩には負けるけど、結構その子優しそうだし。
「美男美女カップルをリアルで見たのは初めてだ」
「私の周り美女ばかりだけど美男とのエンカ率低いからなあ」
先輩は超絶美男だけど、私とは付き合えてないし。
「先輩好きだなあ」
「当たり前だ」
全女性の憧れと言っても過言ではない。
「信者って怖いな~」
「シパクぞ」
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