第三百十二話 美咲、バイトを始める その三


 ……よし……生き返った。美咲の家を犠牲にして。

 

「私にとって唯一の優しい現実を奪ってくれましたわね!」

「お前が毒なんて盛るのが悪い。第一金ないなら爆弾売れば良いのに」

「それだと殺したい人がいた時に困りますわ」

 

 ホントにボンバーウーマンだな。

 てかそもそも捕まるってツッコめよ。

 

「ツッコミの仕事は初さんじゃないですの!」

「転職活動したいけどまたどうせ面接落ちるしなあ。あーあ、美咲か姉さん死んでくれればまだ大丈夫なんだけどなあ!」

「う、ウザいですわ……」

 

 私をウザくしてるのはお前らだけどな。

 

「しかも悪びれる事なく人のせいにしましたわ!」

「だって事実じゃん」

「ど、どうしたら良いですのぉぉぉ……」

 

 あーあついに泣いちゃったか。

 まあこいつが泣こうと関係な

 

「初ちゃん泣かせたー……」

 

 ナニコレ……何この和泉の視線。

 男子が女子泣かせた時みたいな絵面じゃん! てか誰が男だ!

 

「自分ツッコミとか寒いよ」

「うるせえ! そして美咲を憐れむな!」

 

 こんな奴憐れんでも仕方な

 

「うわああああああああああああああん! 家がないですのおおおおおおおおおおおおッ!!」

 

 ……。

 全部姉さんのせいだ。

 

「家壊されたのは貴女のせいですの!」

 

※※※

 

 てか、ホント無茶苦茶だな。

 ギャグ補正ってホントに発動して欲しい時に限ってしない。

 何でリセットがないんだ。

 何で美咲消せないんだ!

 

「私がいる事が一つの表現みたいになってますわ……」

「お前と姉さん程ギャグ補正が働いてる人間そうそういねえ」

 

 姉さんは竜の玉出られるし、お前は死んでも蘇るし。

 

「貴女が殺してるんですの!」

「六章と七章は私の為に働いてくれてありがとな」

「は? いきなり……か、感謝したってダメですの……」

「そういえばその分の給料あげてねえな」

「お給料……?」

 

 すげえキラキラした目をしてるな……よし、あげよう。

 

「和泉、頼みがある」

「なーに?」

「美咲を殺せ」

「うん♪」

 

※※※

 

 包丁を持ってきた。

 

「……初さん?」

「お給料代わりにもう一回殺してあげようかと思ってな。お前私に殺されるのが大好きなドMだろ? 賄いだと思って一回殺されてくれ! お前の為に三話も無駄にしたんだしな!」

「ふ、ふざけないで下さいですの! 作者がネタないのに協力したんですのよ! 三話ほど稼いだと言ってくださいな」

「ちょっと何言ってるか分からない」

「嫌ですの! 和泉さんも包丁をしまってください!」

「初ちゃんに頼まれたら、断れないよ……」

「ヤン百合も大概にしなさい!」

「やだ♡」

「いやああああああああああああああああッ!」

 

 さて死に急げ。

 

「と思ったが、一応遺言くらいは聞いてやろう」

「……は

「はい殺せ」

「うん♪」

「ぎゃああああああああああああああッ!」

 

 こうしてまた一つの魂が土に還った。

 

「まあどうせ生き返るしな」

「命で遊ばないで欲しいですの!」

 

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