第二百九十七話 オンリーイベントに行こう その三


 サークルチケットを渡して入場し、そのまま指定の場所へと移動。

 早速設営準備が始まった。

 

「早急に取り掛かるぞ」

「お前誰だよ」

「吾は〇ヴァイだ」

 

 戦姫関係ねえじゃんこいつのコス!

 

「江代ちゃん!」

 

 お前は黙って準備してろ!

 

「皆、一人一冊同人誌は書いてきたな?」

「ふっ、当然だ」

「大丈夫です!」

「おうよ!」

「は、はい!」

 

 なるほど。今回は一人一本ずつ同人誌を書いて、売るという流れか。

 

「今回一番多く売れた人は売り上げを全部持っていく権利を与える!」

「ふっ、負けんぞ」

「望むところよ!」

 

 サークル内で勝負すんのかよ。

 

「これくらい当然だろ」

「まあ好きにしてください」

「え、江代さんには負けません!」

 

 こいつに勝とうとしても無駄だし、勝ったところでなあ。

 

「ふっ、貧乳の銃士よ。貴様には買い出しを頼みたい」

 

 お金とメモが渡される。

 

「はあ……はいはい」

「あ、ずるいです江代さん! 私も買い出しを頼みます!」

 

 ここのサークルでは空き時間に買い物に行くらしいな。

 だけど行ってる間は自分の同人誌がどうなっても知らねえとかそんな次元の話なのだろうか。

 

「だとしたらこのサークル考えが戦国時代過ぎるだろ」

「ふっ、唯一の女イヴよ。〇E勢を舐めるなよ!」

「だとしても負けません!」

 

 ホントに戦争してるみたいだ……。

 ゑ? じゃあもしかしたら今回。

 

「おい作者。私の職業欄見せてくれるか? F〇覚醒風に」

 

 はいよ。By作者

 

「お前執筆中くらいゲーム止めようぜ」

 

 うるせえ馬鹿。By作者

 

 私の視界に、〇E風に職業説明が表示される。

 

『貧乳パシリ』

『主人公(笑)な銃使い。サークルを率いる能力が低い為(色んな意味で)、基本皆からパシられる。無駄にメンタルの防御力が高い』

 

 つまり無能と言いてえのか。

 

「ふっ、その通り」

「お前あとでシパクぞ」

「ママを呼ぶぞ」

 

 やめて。

 

※※※

 

 取り敢えず全員からお使いを頼まれた。

 

「やっぱり行くの間違いだったか……?」

 

 サークル体験出来るって聞いたから来たのに!

 私ただの買い物係じゃん! 毎年コミケに行くのと何も変わらねえ……。

 

「毎度あり」

 

 取り敢えず今日は適当にやり過ごして、とっとと帰りたい。

 

「買ってきたよ……」

 

 ん?

 

「めっちゃ混んでる……同人誌そんな売れてるのか?」

 

 は?

 

「はい皆さん順番に並んで、ここで整理券を渡してください」

「江代令嬢ちゃん!」

「ふっ、吾の動画を見てくれてありがとう」

 

 あれ、あそこでA〇Bの握手会やってるな。

 

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