第二百九十話 ハロウィン その五


「もうお金沢山手に入ったから、次で最後ね」

「へいへい……」

 

 結局ここまで一個もお菓子貰えてねえ。

 

「せめて最後くらいはちゃんとお菓子を貰おうぜ……」

 

 あと知り合いで貰えそうなのは……。

 

「和泉くらいか?」

 

 ただ正直な話私は和泉の家の住所を知らねえ。

 

「てかアンタ酷いよね」

「何が?」

「そろそろ明かしてくれても良いんじゃない?」

「だから何?」

「読者もそろそろ気になり始めてる頃よ」

 

 ?

 

「和泉の下の名前」

 

 ……。

 

「何? どうしたの?」

「いや、その、あの……」

 

 親友なのに知りませんとか言えない。

 

「アンタらの関係がもう分かんないわよ」

「私もそうだから安心しろ」

 

 急にレズになったり、また前みたいにまともになったり……私もあいつが分かんねえ。

 

「てかお前は優香とはどういう関係なんだよ? あいつはお前の事認めてたみたいだけど」

「まあ優香は私よりテンション高いし、コミュ力もあるしね」

 

 常にスーパーハイテンションでまじん斬りが全部当たってる感じだもんな。

 

「私ドラ〇エ分かんない」

「ド〇クエって分かってんじゃねえか」

 

※※※

 

 ピポパポ♪ プルルルル……♪

 

「あ、もしもし和泉」

『初ちゃんなーに?』

「今からお前ん家に行きたいんだけどダメか?」

『……良いの? 何してくれるの?』

 

 なんかすげえ嬉しそうだな。

 

「えっと……」

 

 お菓子貰いに行くだけとか言ったら怒られるか……?

 

「じれったいわね」

「あ……おまっ!」

「あ、もしもし和泉? 今からアンタの家行くわよ」

『うん』

「ハロウィンだし取り敢えずお菓子貰いに行くわ」

『え? それだけなの初ちゃん!』

「おい姉さん!」

「お菓子くれないなら、アンタの目の前で初を殺すわ」

 

 いやあああああああああああああッ!

 和泉の前で言ったらダメな事全部言ったああああああああッ!

 

『淀子ちゃん? 今から住所言うからそこに来て?』

 

 うん……完全に怒ってる……。

 

※※※

 

 和泉宅にて。

 ピンポーン♪

 

「よ♪」

「なんで? どうして? どうして初ちゃん殺そうとするの?」

 

 姉さんだから大丈夫だけど思い切り包丁取り出してきた……。

 

「私には初ちゃんしかいない! だから初ちゃん殺すのなんて絶対ダメなの! そんな事しようとする淀子ちゃんなんて死んじゃえ!」

 

 眼が怖い……。

 

「ふっ……貧乳の銃士よりはマシだ」

「久しぶりに目つきでいじったなおい」

 

 三白眼でハイライト入ってねえのはデフォなんだよ。

 

「えいっ!」

「ほいっ♪」

 

 え……待て和泉。

 

「いやああああああッ!」

 

 姉さんが逸らしたのが私に当たった。

 

「はつ……ちゃん?」

「ぐへえ……」

「初ちゃん! 初ちゃん!」

 

 最悪だ……。

 

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