第二百八十一話 修学旅行 その十


 三日目。外にて。

 

「ふっ、観光だ……」

「観光だよ初ちゃん♪」

「そうだな!」

「コーヒーの材料買うぞ!」

 

 浅井三姉妹で初めて場の空気が一致した瞬間である。

 これは珍しいな。

 

「いらっしゃい。お客様は四名ですか?」

「おうよ」

「では、今回のコースの紙を渡してください」

 

 私はバッグから紙を取り出して、タクシー運転手に渡す。

 基本的には班行動だが、ここまで色々やっても何も言われないのだ。これくらい普通だ。

 

「なんか俺、悪い事してるみたいな感じになってる……」

 

 確かにな。両側にJKを二人抱えてるおっさんとか普通に犯罪の香りするわ。

 

「肯定しないでくれよ!」

「大丈夫だ遠藤。私は先輩しか好きじゃないから」

「私も初ちゃん好きだから♪」

「そういう事じゃない」

「ふっ、吾は前だ」

「あれ、お嬢さんどっかで……ハッ! 江代れいじ

 

 もうこういう会話は良いわ。

 

※※※

 

 まずやってきたのは、残波岬。

 崖に海、そして灯台が特徴的な場所だ。

 

「作者も修学旅行でここ来てキャスしたらしいな」

「あいつがキャスやってもゼロ人だけどな」

「ふっ、作者よ。吾のフォロワーを分けてやりたい」

 

 え、マジ? By作者

 

「嘘だ」

 

 お前最低だな。By作者

 

「貴様はもう少し自分で頑張るという事が出来んのか!」

 

 それでこの体たらくなんですが。By作者

 

「ぐっ……」

「まあ進歩のない奴だし放っておこう」

 

 胸が進歩してない癖に。By作者

 

「あとで殺す」

 

 ごめん許して。By作者

 

※※※

 

「風が気持ちいいね、初ちゃん」

「ああ」

「こういう場所で飲む珈琲は最高だ」

「ふっ、気が高まる。溢れる……」

 

 あれ、今の江代? 姉さん?

 

「吾だ」

「ブ〇リーの台詞出てくると分かんねえよ」

 

 最近は姉さんとブ〇リーの違いが分からなくなってきた。

 

「心配するな。どっちも同じだ」

「だよな」

 

 あとで淀子にチクろうかな。By作者

 

「テメエ殺されてえのかマジで」

「ふっ、作者よ。もう少し柔軟な行動をした方が良いと吾は思うぞ」

 

 何で自キャラに俺異常的な事言われなきゃいけねえんだ。By作者

 

「お前が言わせてるからだな」

 

 それじゃ身も蓋もねえな。By作者

 

「もっとしっかりしような」

 

 はい……。By作者

 

「よろしい」

 

 いやおかしくね? By作者

 

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