第二百五十九話 体育祭 その二


 校長は岩盤に叩きつけられた。

 姉さんに。

 

「アンタらが私と戦う意思を見せなければ、私はこの学校を破壊しつくすだけよ」

 

 カ〇ロットは……カカ〇ットはおらんのか?

 

「それでは準備運動を開始します」

 

 そして教師陣校長死にかけてんのにガン無視かよ。

 可愛そうに。

 

※※※

 

「体操の体形に……開け!」

 

 うおおおおおおと掛け声を上げながら、全員が広がっていく。

 

「……女子高の体育祭で掛け声が凄いのってここくらいじゃねえか?」

 

 いや、私が知らないだけでこんな凄い所があるかも知れねえけども。

 

「ここまで荒れてるのはうちくらいだな」

 

※※※

 

「スクワット!」

 

 これ漫画とかだとしたら、こういうシーンオカズにする男子もいるんだろうか?

 てか先輩にオカズにされたい。

 

「ねー隣の奴気持ち悪くない?」

「そうね」

 

 殴らせてくれ。

 

「先輩前みたいに来てくれないかな……」

 

 汗で濡れた私を優しく抱きしめてェェェェッ!

 

「淀子早ッ!」

「いや何でアンタらこれ出来ないの?」

 

 サ〇ヤ人が何かほざいてるけど無視だ無視。

 

「吾は苦手だ。こういうの……」

 

 〇マブラごっこで私をボッコボコにした厨二病の実際の身体能力がコレです。

 超遅い。

 

「木刀ある時とない時の差が激しすぎるな」

 

 そして作中トップクラスのおっぱいがはっきり分かる体育着が憎い。

 

「あとであいつがおねしょしたら現場をアップしてやろ」

「嫌がらせが小学生並みね」

 

 お前がバイオレンス過ぎてそう見えるだけじゃねえの?

 

「血祭りに上げてやる」

「もうダメだおしまいだ」

 

※※※

 

 準備運動が終わり……。

 

「それでは競技の方に移りたいと思います」

 

 さて……これから競技が始まるのだが……。

 

「まずは全校生徒による、町内マラソンです」

 

 そうこれだ。

 毎年苦情が来ているにも関わらず、一向にやめる気配の見えない町内リレー。

 最近は……まあ走れば分かる。

 

「初ちゃん、一緒に走ろ?」

「良いよ」

 

 最近は和泉も大人しくなってきたし、レズい事をしなきゃ見逃してやる。

 

「それでこそ和泉だな」

「? どゆこと?」

「何でもねえ」

「怒ってる初ちゃんも可愛いよ」

 

 別に可愛くねえっつの。

 

「あいつツンデレのつもりよ。気持ち悪い」

「そうね」

 

 モブに紛れて悪口言うんじゃねえ殺すぞ姉さん。

 

「それでは皆さん、位置について……」

 

 あーあ……始まってしまう。

 

「よーい……ドン!」

 

 そのまま一斉に駆け出した。

 

「勝てるものなら来なよッ!」

 

 先頭は……言うまでもなく姉さん。

 こいつに生身で勝てる奴がいたら教えて欲しいくらい速い。

 

「初ちゃん速いよ~……」

「しょうがねえな! 掴まれ!」

 

 とてもじゃないが、和泉単体でこのマラソンを乗り切るのは不可能だ。

 

「ぎゃあああああああッ! 車の上に人がッ!」

「一位は私のだ!」

「そうはさせるか!」

 

 早速事件が起きている。

 車の上で戦う二人組と、それに参加する奴が数名。

 

「おらあッ!」

 

 ポケットから武器を取り出し、殺し合いに発展する奴が三名。

 

「ゆけっ! 部員ども!」

 

 野生のポケモン風に部員を野に放つ部長などが数名。

 

「か〇はめ波!」

 

 ぶっちぎりの一位にも関わらず、後ろに向かって波動を放つ者などなど。

 

「死ぬなよ和泉!」

「怖いよ……」

 

 ここの町内マラソンほどヤバい競技はない。

 

「てかよく考えたら競技でマラソンをやる事自体おかしい」

 

(つづく)

 

「やだ」

 

(つづけ)

 

「……はい」

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る