第二百四十九話 浅井三姉妹のバカなアルバム その三


 そして中学二年生。

 

「……怠い」

 

 何故そうなのかどうかは、聞くなよ?

 絶対聞くなよ?

 

「女の子の日状態の貧乳って超面白いよね~」

「ナメクジみた~い」

 

 あとで絶対絞め殺す。または醤油一リットルと水筒の中身を入れ替えてやる。

 

「はいコーラ」

「あんがと……ぶっ!」

 

 中身は醤油だった。

 

「殺す気か姉さん」

「うん」

 

 姉さんの残虐な性格はもうここで完成していた。

 

「アンタの発情期もここで完成してるわね」

 

 もうツッコまんぞ。

 

「今日は誰オカズにすんの?」

 

 馬鹿じゃねえの?

 それ言われた所で答えるわけねえし。

 

「答えなかったらこれバラまくけど」

 

 エログッズだけはやめてくれください……。

 

「そこにいる奴だ」

 

 私が指さした先にいるのは、比較的リア充に分類される女子に囲まれた金髪の男子生徒。

 京極先輩には及ばないが、当時の私には凄くカッコよく見えた。

 

「ふーん。あんなのがオカズ?」

「何だよ文句あんのか?」

「私は最近、推しを見つけたからね」

 

 姉さんが中島〇人ファンになったのもこの辺りだ。

 

「ところで江代は?」

「あそこよ」

 

 姉さんが指さした方向には……。

 

「はあああああッ! 闇の炎に抱かれて消えろ! ダークメラ〇ーマ!」

「ふっ、吾にそのような技を効かぬ! 超究〇神覇斬!」

 

 江代は小学生のどっかで厨二病に目覚め始めた。

 この頃は他にも似た奴がいたから良かったが、高二の今では完全に孤立してしまっている。

 

「昔は可愛かったな~」

「そうね」

 

 そこは同意してくれるのか。

 

「だって話してる事も訳分かんないし、アンタをボコす事に集中出来ない」

「お前はもう少し私を大切にしてくれ」

「無理よ」

 

 家から出て行きたいです。

 または家族全員醤油一リットル飲んでください。

 

「そのネタばっか使ってるなら殴り殺すわよ?」

「すみません」

 

 もうお前のせいでツッコミのレパートリーも減ってきたんだよ。

 おっと、過去編なのに何言ってんだこいつというツッコミは無しだ。

 色々事情があんだよ。

 

「作者がスランプとか?」

 

 はっきり言ってやるなよ……。

 

「そんなにスランプなら手伝おうか?」

「何を?」

「この小説終わらせるの」

 

 をい……何してる?

 

「? 全裸になるのよ」

「……は?」

「カク〇ムからBANくらえばここで活動出来ないんだしね……」

 

 やめろおおおおおおおおおおおおッ!

 

※※※

 

 私はアルバムを閉じた。

 結局浅井三姉妹に言えるのは、一つの簡単な答えだ。

 

「今も昔もあいつらは馬鹿だった」

「アンタもね」

 

 いつからいたんだよ。

 

「アンタの記憶を妨害するようにアテレコしてた」

 

 いつの間にそんな器用な技が出来るように……?

 

「〇空もテレパシー使えるからね」

「お前ホントに生まれる世界間違えたよな」

 

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