第二百三十八話 後始末


「今年もまた、私達の勝利だ~!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

「まあ私がいるんだし当然よね」

 

 姉さん除いてもこの学校化け物多いしな。

 

「てかなんでアンタは右腕骨折してんのよ」

「やられた」

「ださっ」

 

 あんな乱闘に巻き込まれて傷一つない方がおかしい。

 

「仮にもアンタ私の妹でしょ? もっと頑張りなさいよ」

 

 てかこれを伝統行事みたいにやるのがおかしい。

 

「そう? 私は楽しいけど?」

 

 ちゃっかりカツアゲまでしてやがる。

 

「アンタのを見て吐いた分補充するわ」

「よくそんなゲロ吐いてすぐにもの食おうと思うな……」

「だってお腹空くんだもん」

 

 流石戦闘種族。

 

「てか今回もまたMVPに賞金渡されるらしいけど誰かしら?」

 

 確か去年は姉さんだ。

 今年はどうなるのだろうか。

 

『では、今回のMVPを発表します!』

 

「ふっ」

 

 勝ち誇るの早くね?

 

『MVPは……』

 

 ワンチャン私か?

 

『……六角美咲さんです!』

 

「「……は?」」

 

『勝ったんですわ……私は浅井家の奴らに勝ったんですわッ!』

 

 ……。

 

『ふぁっははははははははははははッ!! ふあっっっっっはははっはっはっは!!』

 

 その笑い方何?

 

「人間の笑い方じゃないわね」

 

※※※

 

 MVPがしょーもないクソ眼鏡に決まって一時間後。

 

「先輩、無事ですか?」

「浅井さん……その腕……」

「ただの骨折です。大丈夫で

「僕の為に……そんな事したの?」

「……」

「答えて」

「はい……」

「僕の為に、そんな無理をしないでくれよ……。僕の為に、怪我なんてしないでくれ」

 

 先輩……。

 

「浅井さん……。これだけは誓って」

「……はい」

「どんな時でも、自分の事を大切にして欲しい。お願いだ……」

「先輩……」

 

 私……最低だ。

 先輩を泣かせて……そんなつもりじゃなかったのに。

 

「初ちゃん……」

「先輩。一つお願いしても大丈夫ですか?」

「お願い?」

「今日は一緒に帰りたいです。先輩を家まで送って、大丈夫ですか?」

 

※※※

 

 不思議だ。

 自分でも何故……自然にあれが言えたのか分からない。

 何もかも分からないまま、私は先輩と歩き。

 あっという間に家に着いた。

 

「すみません……わがまま言って」

「大丈夫だよ。これくらい」

「あの……その……」

「?」

「私……実は……」

 

 言うんだ私。今日こそ。

 

「……」

「……」

「すみません……何でもありません……」

 

 やっぱり、私には無理だ。

 

「浅井さん」

「……」

「たまにはさ、甘えても良いんだよ」

「先輩……」

「僕は君の先輩だ。だから、その、たまには頼って欲しい……」

「そんなこと……」

「頼む。お願いだ」

 

 ……。

 

※※※

 

 先輩……。

 

「なーにラブコメ風で終わらせようとしてんのよ」

 

 は?

 

「取り敢えず美咲の家行くわよ」

「……せやな」

 

 今回はサンキューだぜ姉さん。

 雑魚とは言え美咲を許すわけにはいかねえよな?

 

「あたぼうよ」

 

 ぐは……ぐははははははははははははははははッ!!

 

「吾的には※の前で終わって欲しかったな」

 

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