第二百十四話 始業式 その二


「よろしくお願いします」

「……」

 

 結局……めんどくせえ奴来たな。

 

「じゃあ浅井の近くで良いか」

「はい」

 

 はいじゃねえよ。

 

※※※

 

 ……はあ……。

 

「どうしました? 浅井さん」

「空気読め」

「計測中……計測中……大気状態に問題はありません」

 

 そういうつまらんロボボケは良いから。

 月に基地が五つある並みの回答だから。

 

「今のはつまらなかったですか?」

「意図した奴なの?」

「違います」

 

 姉さんみたいな奴も扱い辛いけど、こういう台詞の意味が本当に理解出来てない奴はマジで扱い辛い。

 

「すみません……まだ私の頭脳は人間ほど完璧では無いんです」

「そ……そっか。お前はどういうロボットなんだ?」

「私は学習型人工知能を搭載した、学ぶことで人間に近付けるロボットです」

 

 あー、フィクション世界でよくある奴……。

 

「つまりあれか、人間の行動が理解しきれば、限りなく人間に近い感性になれるって事か?」

「その通りです」

 

 ……あれ、これってもしかして。

 

「(この機能は……使うしかないな)」

 

 和泉じゃなくて、常識人はこいつなんじゃないのか?

 あいつは何故かヤンレズキャラに走ったが、スタ子はまだ分からない。

 上手くやれば、私の盾になってくれるかも……。

 

「今初さんから邪悪な何かを感じ取りました」

「をい。私は清廉潔白だぞ」

 

 少なくとも私と先輩以外の登場キャラよりはな。

 

「先輩……は何ですか?」

 

 勝手に読み取られた……。

 

「大丈夫大丈夫。お前が知らなくても大丈夫な事だから」

 

 こいつのせいで先輩がロボ女好きに目覚めたらマズい。

 

「マズい……何か美味しくないものを食べたんですか?」

「食ってねえよ!」

 

 姉さんの汚料理喰ったらどんな料理でも美味く感じるようになっちまったわ。

 落ち着け言葉を選ぶんだ。これ以上質問攻めされても私はどうにも

 

「何故私に対して言葉を選ぶんですか?」

「ほわああああああああああああああああッ!!」

 

 狂った。

 

「何故狂

「黙れ」

 

※※※

 

 取り敢えず姉さんの所へ連れていく。

 

「お、初。そのボロット何?」

 

 今回ばかりは同意だ。

 

「私がけなされているように感じます」

「気のせいだ」

 

 はぁ、めんどくせえ。

 

「それにしても面白そうなの連れてきたわね」

「だろ?」

「てわけでやろか」

「?」

「転校生が来たら、この作品で生きるのに相応しいかどうかチェックでしょ?」

 

 いや、そんなルール聞いた事ねえ。

 

「そうなんですか?」

「ごめんスタ子。こいつの言う事は基本信じなくて良いからな」

「じゃあ行くわよ」

「えっ、ちょっ、浅井さん?」

 

 まあ有無は言わせてくれないか。

 これが終わったら即刻まともにする作業始めよ……。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る