第二百十三話 始業式 その一


 キンコンカンコン♪

 

「……」

 

 長かったようであっという間だった夏休みが終わり、今日からまた学校である。

 

「ふぁ~……」

 

 昨日は前回のプロローグの通り、私は姉さんの宿題を手伝わされた。

 言うまでもなく、徹夜だ。

 因みに江代は最近まで地味に流行っていた、宿題代行サービスに依頼したそうな。

 

「……江代に姉さんの分も頼んでおけばよかった」

 

 まあでも、あいつの場合留年しそうだからやらせておかねえとな……。

 

「初ちゃんおはよ!」

「おはよ……」

「どーしたの?」

「ねみい……一睡もしてない」

「おっぱい揉む?」

「……いらね」

「……ぷくー……」

 

 ……それ人によっては煽りだからな?

 

「初ちゃんの事を癒せるのは……私だけなの」

 

 あの時は許したけど、せめて人の眼がある時はやめてくれ。

 

「そういう事言うんだ……」

 

 あれ……この流れは……。

 

「私は初ちゃんの事好きなのに……初ちゃんは私の事嫌いなんだ……なら良い。初ちゃんを殺して私も死

 

※※※(カット)

 

 和泉は死んだ。

 私を手に出来なかったショックに耐えきれなかったのだ。

 

「和泉さんが完全にペニーワ〇ズさんの扱いですわね」

 

 それはニ〇動の動画な?

 

「そうだったんですの?」

「あれで死んでるの〇ョージだから」

 

 最近は昔の総統〇下シリーズ並みに流行ってるから良かったら見ると良い。

 

「久しぶりにステマですわね」

「この作品は作者の好きなものを宣伝する為に作られたってのもあるからな」

 

「おはよ~てめーら」

 

 あ、担任来た。勤務中だというのに煙草を吸いながら。

 

「まあ他の奴らで吸ってるのいるから大した問題じゃねえけど」

 

 しかも堂々と。

 

「今日は皆に転校生を紹介したいと思う。入れ」

 

 このタイミングか……また吉川みたいにパクリキャラが出ないといいんだが……。

 

「失礼します」

 

 扉が開き、そのまま一人の少女が入ってきた。

 サングラスのようなものを乗せた赤いセミロングヘアに、機械的な紋様が入った黄色の瞳。

 顔は非の打ちどころがないくらいに整っているが、所々接合部のようなものが見える。

 歩く度に、機動音のようなものが聞こえる事から彼女は……。

 

「え……? ロボット?」

 

 ……まああれか……吉川みたいな感じよりはマシか。

 ただ……インパクトに欠けるな。

 

「インパクトに……欠ける?」

 

 あれ……?

 また私の声読まれたか?

 ロボットが何かを呟いたぞ。

 

「インパクトのある登場をしろ、という事ですね?」

 

 いやそんな事誰も言ってな

 

「少し待ってください。やり直します」

 

 いや、なんか嫌な予感しねえから良いよ!

 

 ウィーン! ゴゴゴゴゴゴゴッ!!

 

「なんかロケットブースターが機動したような音が聞こえる……」

『オーバードライブ!』

 

 ぎゃあああああああああ教室のドアがッ!

 

「改めまして、私はスタ子と申します」

 

 だからやめろって言ったんだ……。

 

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